2019 Fiscal Year Research-status Report
To clarify new mechanism of postoperative cognitive dysfunction related to brain-derived neurotrophic factor.
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19K18260
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
堀越 雄太 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (50638260)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 術後認知機能障害 / BDNF / proBDNF / デクスメデトミジン |
Outline of Annual Research Achievements |
全身麻酔・手術後認知脳機能障害の病態は非常に複雑であり、全身麻酔薬による神経細胞毒性やアポトーシスの誘導および脳内炎症などが考えられているが、その詳細は明らかになっていない。脳由来神経栄養因子(BDNF : Brain-derived neurotrophic factor)やその前駆体(proBDNF)は、学習や記憶、思考など高次脳機能に深くかかわる神経栄養因子の一つであるが、術後認知機能障害との関連はほとんど研究されていない。本研究では、全身麻酔・手術による老齢ラット認知機能障害モデルを用い、海馬などの脳内BDNFおよびproBDNFを評価することで術後認知機能障害との関連を明らかにし、新たな機序解明を図る。さらに、麻酔薬の種類による差異を比較評価することにより、術後認知機能障害を発生させにくい麻酔方法を探求する。この研究により、新たな予防法や治療法の開発にもつながると期待される。 2019年度の当初の計画は、全身麻酔・手術侵襲によって、脳の海馬内BDNF・proBDNFがどのように変化するか、また麻酔薬の違いによって海馬内BDNF・proBDNFに差異はあるのかを検討することであった。そこで、全身麻酔および手術を行わないシャム群と、セボフルランによる全身麻酔+手術群で比較検討したところ、海馬内BDNFとproBDNFともにセボフルランによる全身麻酔+手術群で低い傾向があることが判明した。現在、プロポフォールによる全身麻酔+手術群で評価をしており、研究を進めている。 今後は、神経保護効果の報告があるデクスメデトミジンをラットに投与した上で、上記と同様に全身麻酔および手術を行い、海馬内BDNFおよびproBDNFを測定し、デクスメデトミジン投与によってそれらがどう変化するかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全身麻酔+手術侵襲によって、脳の海馬内BDNF・proBDNFが減少傾向にあることを示すことができた。麻酔薬の種類によって差があるかどうか検討するため、現在プロポフォールによる全身麻酔群を評価中である。 当初の予定では、全身麻酔の種類としてデスフルランも使用する予定であったが、研究設備上の問題でデスフルランが現在使用できず、デスフルランに関しては評価できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、術後認知機能障害の軽減効果が期待されているデクスメデトミジンを用いて、脳の海馬内BDNF・proBDNFがどのように変化するかを評価する予定である。デクスメデトミジンによる神経保護効果は、脳内炎症の抑制によるものと考えられているが、BDNF・proBDNFの変化を見ることによって、デクスメデトミジンの神経保護作用の新たな機序解明に繋がると考えられる。 BDNFは筋肉など全身の組織からも分泌されるため、脳由来のものか、その他由来のものかを簡便に判断するために、血中濃度も測定し、評価を進める。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった、BDNFとproBDNFの測定キットの購入費が少なくなったため。また、学会参加費などの旅費が不要となったため、未使用額が生じた。 次年度は中間報告として学会での発表を予定しており、未使用額はその経費に充てることとしたい。 また、令和2年度も実験の継続を予定しており、ラットの全身麻酔・手術に必要な麻酔薬などの薬剤および物品の購入、BDNFとproBDNFの測定キットの購入に経費を使用する予定である。
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