2019 Fiscal Year Research-status Report
小児悪性脳腫瘍に対するWT1ペプチドワクチンを中心とした複合免疫療法の検証
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19K18390
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横田 千里 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (10771909)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がんワクチン / 免疫チェックポイント / グリオーマ / WT1 / PD-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリオーマに対するWT1ワクチンと抗PD-1抗体の併用療法の有効性・安全性および各単独治療と併用療法での腫瘍内免疫学的環境の変化をマウスグリオーマモデルを作成し、腫瘍内浸潤免疫細胞に着目して探索した。 B6 Albinoマウスの脳内にWT1遺伝子およびホタルルシフェラーゼ遺伝子を導入したGL261細胞を移植した。コントロール群、WT1ワクチン単独群、抗PD-1抗体単独群、WT1ワクチン・抗PD-1抗体併用群の4群に分け、Day5より治療を行い、腫瘍体積の推移をIVISイメージングシステムで1週間ごとに追跡した。また、各治療群における腫瘍内免疫環境の解析を行った。 WT1ワクチン療法、抗PD1抗体療法群はそれぞれコントロール群に比し有意な生存期間の延長を認めた。更に両治療の併用療法は各単独治療群に比し有意な生存期間の延長を認めた。免疫学的解析結果では、併用療法群では腫瘍内免疫細胞総数が各治療群より有意に多く浸潤していた。また、WT1ワクチン療法では血中にWT1特異的CTLが誘導されると共に、腫瘍内のCD4+T細胞が増加した。PD1抗体療法では腫瘍内CD8+T細胞が増加し、そのCD8+T細胞にはPD1抗体が結合し、結果として細胞表面のPD1の発現が抑制されていた。併用療法ではこれら個々の治療で見られた特徴が保持されると共に、腫瘍内免疫細胞の比率ではCD11b陽性細胞に占める抑制性細胞であるLy6c陽性MDSCの比率が有意に減少した。 マウスグリオーマモデルにおいてWT1ワクチン療法と抗PD1抗体療法の併用は抗腫瘍免疫環境を相乗的に増強し、結果として有意な抗腫瘍治療効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリオーマモデルの作成および各治療における有効性と免疫環境調査の各実験の予定分を終了し、現在論文作成をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍免疫反応に関わるがん抗原および抗原提示細胞、またT細胞の遺伝子的背景や抗原発現量の調節因子についてさらにモデル動物を利用して追加解析予定である。加えて小児悪性脳腫瘍の細胞樹立および動物モデル擁立を行なっている。
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Causes of Carryover |
2019年度予定していた実験が順調に進み、2020年度に予定していた実験を前倒して実施するために次年度分の一部を前倒し交付申請した上で実験を継続した。しかし、主な動物飼育場所かつ実験実施場所である動物実験棟の移転計画が2019年12月より実施されたため、それにあわせて実験計画を一部縮小した。その後も2020年2月中旬より新型コロナウイルス流行の影響を受けて実験を一時中断・縮小せざるを得なくなり、2020年2月頃から実験系を徐々に縮小していったため、年度末の時点では前倒し申請時の計画の半分程度しか実施できなかった。今後も安定した再開継続の見通しが立っていないため、一部実験計画を変更・縮小して実施継続の予定である。
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Research Products
(2 results)