2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K18408
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岩田 亮一 関西医科大学, 医学部, 講師 (60580446)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳転移 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
転移性脳腫瘍の患者は増加傾向で、脳転移に対する有効な治療法が不足している。転移性脳腫瘍の発生機序は不明で、脳転移を抑制する薬剤はいまだ開発されていない。我々は転移性脳腫瘍患者の腫瘍組織よりがん幹細胞株を樹立した。これらはマウスの脳に多発性脳腫瘍を形成することから、脳転移開始細胞と命名した。免疫関連分子であるICOSLGは、免疫応答のみならず細胞の浸潤や遊走に関与していることが報告されている。 本研究は、脳転移開始細胞で発現するICOSLGが脳転移にどのような影響があるかを明らかにする。さらに同一患者の原発巣と脳転移巣のペア検体を用いて、網羅的な遺伝子解析で脳転移に関わる新規治療標的分子を同定する。 パラフィンブロックの検体からRNAを抽出し、nCounterを用いて、原発巣と脳転移巣での遺伝子発現量の変動を解析した。原発巣において、ICOSLGおよび上皮間葉転換(EMT)マーカーであるSNAI1の発現量が高かった。脳転移巣において、EMTマーカーであるSNAI2とE-cadherinおよびがん幹細胞マーカーであるALDH1A3の発現量が高かった。さらに、肺癌脳転移手術検体から2例の脳転移開始細胞の樹立に成功した。免疫組織化学法を用いて、ICOSLGタンパク質の発現を解析したところ、ICOSLGは脳転移開始細胞の細胞膜に局在していた。ICOSLGはEMTや浸潤に関連することから、ICOSLGは転移性脳腫瘍の分子標的に成り得る可能性が示唆された。現在、肺癌および大腸癌由来の脳転移開始細胞におけるICOSLGの発現とその新規転写因子の網羅的遺伝子解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、転移性脳腫瘍の手術検体から神経内分泌癌が2例、腺癌が2例のがん幹細胞を単離できた。脳転移巣において、EMTマーカーであるSNAI2およびE-cadherinの発現を見いだした。脳転移開始細胞の細胞膜において、ICOSLGのタンパク質の局在を見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
脳転移開始細胞において発現しているICOSLGを分子標的とした治療戦略を検証する。また既存の分子標的薬が脳転移開始細胞に与える影響についても検証する。スクリーニング方法として、ICOSLGに対するsiRNAまたはshRNAを用いて脳転移開始細胞における遺伝子発現をノックダウンし、表現型を解析する。評価項目としては、細胞増殖やアポトーシス、スフェア形成能について解析する。細胞の浸潤能をスクラッチアッセイで評価する。さらに幹細胞性について、幹細胞マーカー(CD133, CD44, ALDH, SOX-2, Nestin)の発現をqPCR法およびフローサイトメトリーで評価する。転移の機序としてEMTが関連することから、EMTマーカーであるSNAI2とE-cadherinについても検討する。
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Causes of Carryover |
予定よりも少ない試薬を用いて効率よく実験を遂行できたため、次年度使用額が生じた。消耗品費(培養関連と動物実験)に充当する。
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[Journal Article] 破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術後の血腫増大例の検討2019
Author(s)
岩田 亮一, 須山 武裕, 吉村 晋一, 山村 奈津美, 磯崎 春菜, 李 一, 宮田 真友子, 内藤 信晶, 亀井 孝昌, 小森 裕美子, 島田 志行, 羽柴 哲夫, 埜中 正博, 淺井 昭雄
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Journal Title
CI研究
Volume: 41
Pages: 87~93
Peer Reviewed
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[Presentation] 破裂脳動脈瘤塞栓術におけるadjunctive techniqueを要した治療成績2019
Author(s)
岩田亮一, 須山武裕、 吉村晋一, 亀井孝昌, 李一, 島田志行, 宮田真友子, 山村奈津美, 内藤信晶, 羽柴哲夫, 埜中正博, 岩瀬正顕、淺井昭雄
Organizer
第24回 日本脳神経外科救急学会
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[Presentation] プラスグレルが著効したステント内血栓症の2例2019
Author(s)
岩田亮一, 須山武裕, 川野晴香, 上野勝也, 内藤信晶, 山村奈津美, 李一, 武田純一, 羽柴哲夫, 吉村晋一, 埜中正博, 淺井昭雄
Organizer
第35回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会
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