2023 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的製剤は脊柱靱帯骨化症の治療薬となり得るか?
Project/Area Number |
19K18413
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
浅利 享 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (40529674)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脊柱靱帯骨化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊柱靱帯骨化症は厚生労働省の難治性疾患に指定されており、骨化巣を縮小もしくはその増大を抑制するような薬物治療は存在しない。過去には異所性骨化や脊柱靱帯骨化の病態に炎症性サイトカイン(IL-6、TNFαなど)が関与していることが報告されているが、炎症性サイトカインを阻害することで、脊柱靱帯の骨化が抑制されるかの検討はなされていない。 本研究では脊柱靱帯骨化症患者の手術中に採取した脊柱靱帯を用いて、靱帯組織内の間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells: MSC)を単離培養した。培養MSCの骨分化能に炎症性サイトカインがどのように関与するかを解明し、炎症性サイトカイン阻害薬が治療薬になり得るかを検討した。 脊柱靱帯由来間葉系幹細胞への生物学的製剤投与実験は進行しているものの、投与薬物の効果は実験前に期待していたほど、骨化抑制効果は認めなかった。 (統計学的有意差なし) 培養細胞に対する生物学的製剤に関しては、今後薬剤の変更や追加が必要であると考えられた。 次に疾患モデルマウス(ttwマウス)に、間葉系幹細胞の誘導を抑える薬物(AMD3100)を投与し、その効果を検討した。AMD3100をttwマウスに4週および8週投与することで、感覚機能の亢進を抑制することができたものの、運動機能の改善は認められず、頚椎CTにおける骨化体積の減少も認められなかった。創薬という意味では、AMD3100の効果は十分ではなく、他のアプローチとの組み合わせなどが必要であると思われた。
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