2021 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫に対する複合免疫療法と高内皮細静脈(HEV)様組織の機能解析
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19K18437
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 啓佑 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10836737)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 悪性神経膠腫 / 高内皮細静脈様細静脈 / HEV / VEGFR / PD-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、通常リンパ節が存在しない中枢神経に生じる腫瘍内の高内皮細静脈(HEV)様細静脈の果たす役割を解明するものである。悪性神経膠腫に対して、VEGF受容体に対する免疫療法+免疫チェックポイント阻害剤の併用療法により通常リンパ節が存在しない脳内で高内皮細静脈(HEV)様の組織が誘導され、細胞障害性T細胞等の免疫担当細胞を動員している可能性が示唆された。頭蓋内におけるHEV様静脈に関する報告はほとんど認めないため、その存在・機能等不明な点は多い。 初年度はグリオーマモデルマウス(GL261 ffLuc)に対して血管新生阻害薬及び免疫チェックポイント阻害剤使用下での腫瘍増大抑制効果とOS延長を確認した。次年度は、マウスグリオーマ幹細胞株TSG ffLuc を移植したマウスモデルでの誘導効果を評価し、同結果を示した。今年度はGL261ffLucマウスモデルを使用し、同プロトコールにHEVに対する阻害剤としてLTβR阻害薬を追加し、評価した結果、生存期間の延長を確認した。また、イメージングにより判定される抗腫瘍効果と、断頭下で得られた脳切片上で抗MECA-79抗体(553863, BD Pharmingen)により同定されるHEV様静脈との相関などを解析した。しかし、当初予定していたHEV様細静脈が増加している群において、腫瘍検体からフローサイトメトリー及び抗MECA-79抗体を用いてのHEV様細静脈を単離することは不可能であった。一方で抗腫瘍効果とOS延長については確認されたため、現在まで悪性神経膠腫に対する免疫療法は、著明な効果を上げるに至っていないが、本研究により、HEV様静脈は細胞障害性T細胞を動員する核となりうることが考えられ、悪性神経膠腫内にHEV様静脈を誘導することが免疫療法のブレイクスルーとなる可能性がある。
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