2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K18486
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
万本 健生 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30635206)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 手術周術期 / 疼痛管理 / 睡眠管理 / 患者満足度 / 機能回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
整形外科手術後の疼痛と睡眠状態についての研究を遂行した。手術翌日は疼痛が強く、睡眠が障害されていた。客観的睡眠状態では睡眠効率は変化なかったが、睡眠時体動と中途覚醒が増加し、深睡眠時間は短縮していた。周術期の侵襲は患者の疼痛を増強し、睡眠状態を悪化させており、このことは術後の機能回復を遅らせるだけでなく、精神的側面に影響を与えリハビリテーションへの意欲が低下することが懸念される。 次に侵襲の異なる術式の周術期疼痛と睡眠状態について調査をすすめた。侵襲が大きいと疼痛が増強し、使用した鎮痛薬が増加するだけでなく、機能回復が遅れた。一方、客観的睡眠状態に違いは見られなかった。今後さらなる検討が必要である。 疼痛は睡眠状態を悪化させ、これは疼痛をさらに増強し、睡眠状態を悪化させる。このことは精神的疲労を引きおこし、リハビリテーション意欲・社会復帰意欲を減退させ、機能回復を遅らせ、さらには患者満足度を悪化させうる。周術期管理ではこれまで侵襲の低減や術後疼痛に対する介入が行われてきたが、よりよい機能的・精神的回復を目的とするための一因子として睡眠状態に着目し、睡眠管理を含めた複合的周術期疼痛管理戦略の構築についての研究を行った。周術期疼痛が強いと睡眠状態は悪化し、機能回復が遅れることを明らかとした。また疼痛に対して介入したRCTを遂行した。疼痛を少なく管理できると、機能回復と睡眠状態が良好であることを明らかとした。よりよい鎮痛状態は機能的および精神的側面からリハビリテーションを促進させ、最終的に入院期間の短縮・早期社会復帰へとつながるものと考えられる。疼痛と睡眠は密接に関連しており、現在睡眠に対して介入を行うRCTを計画している。良好な睡眠状態が鎮痛効果を有し、機能回復を促進することが明らかとなれば、疼痛のみでなく睡眠管理を含めた新たな複合的周術期管理戦略の構築につながるものと考えている。
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