2022 Fiscal Year Research-status Report
Impacts of environmental chemical substance exposure to pregnant woman on sexual differentiation of the child and its modification by genetic polymorphism.
Project/Area Number |
19K18601
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
今 雅史 北海道大学, 大学病院, 助教 (40802799)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 性分化 / 性腺機能 / 胎児期 / 母体環境化学物質 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度までに施行した先行研究 (17H06490 胎児期の環境化学物質曝露が性分化に与える影響と遺伝子多型による修飾) において、エコチル追跡調査3 歳時調査における、第2指・第4指の長さの比(2D/4D)および性役割行動調査(J-PSAI)において、男児と女児の結果に有意差を確認し、さらに環境化学物質の母体暴露により結果が影響を受けるか否かについて解析を進め、2D/4Dと化学物質母体暴露に関しての解析にて暴露濃度が変化しても2D/4Dに差は認められない事を確認した。 令和2年度は、北海道スタディ、エコチル追跡調査での7歳時調査における、2D/4Dとエストロゲンレセプター1(ESR1)遺伝子における既報SNPの一部について、多型の有無との検討を1800例において施行し、平均2D:4Dと右2D:4Dともrs9340799との関連において、rs9340799 GG型の男女全員での検討と、男児のみの検討にて、2D:4Dが優位に低下している結果を認めた。また、上記1800例中、妊娠初期母体尿の化学物質(フタル酸エステル類10化合物)の測定を行い得た623例において環境化学物質暴露とESR1 遺伝子の一塩基多型との関連を検討し、rs2077647 AG/GG 型の男児において、フタル酸エステルの代謝産物であるMEHP暴露の多い集団に2D:4Dが優位に高い事を認めた。MEHPは日本で使用頻度の高いフタル酸の一つであるDHEPの第一代謝産物であり、上記結果から、DHEP暴露の多い集団で2D:4Dが高値となる可能性が示唆された。 令和4年度はESR1 遺伝子の一塩基多型が内分泌かく乱物質であるペルフルオロアルキル物質(PFAS)の出生前曝露による2D:4Dへの影響を修飾するかどうかを検討し、母親血漿中のPFOA濃度の増加とESR1多型との間に有意な遺伝子環境相互作用がある事を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
環境化学物質が性ホルモンや性分化に与える影響を修飾すると考えられる①化学物質代謝・解毒酵素、②ステロイド代謝関連酵素、③環境化学物質受容体関連、についての遺伝子多型の網羅的解析がまだ行われていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度まで2D:4Dと環境化学物質暴露の関連を検討したが、今後はさらに出生時の肛門性器間距離や、陰茎長、精巣容積との関連を検討する。また、脳の性分化(J-PSAI)に与える影響について検討を行う。 遺伝子多型による影響についてもさらに検討するために、臍帯血よりDNAを抽出し、環境化学物質が性ホルモンや性分化に与える影響を修飾すると考えられる ①化学物質代謝・解毒酵素、②ステロイド代謝関連酵素、③環境化学物質受容体関連、についての遺伝子多型の解析を行う。 得られた結果を基にして、関連遺伝子解析により本研究における各遺伝子多型の多型アレル頻度を解析する。さらに本研究で得られた多型のアレル頻度と、公開されている 1000 genome project での既知多型でのアレル頻度との比較や、in silico 解析により多型による遺伝子のアミノ酸配列変化の影響を予測する。母体の環境化学物質と臍帯血中のホルモン環境や児の身体および脳の性分化の関連に関する結果と遺伝子多型の結果を比較検討することによって、多型毎のリスク予想解析を行う。
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Causes of Carryover |
必要試薬の購入が少なかった事、コロナ禍により現地に赴いての学会参加機会が少なかった事で、研究費の使用が予定よりも少なく、次年度使用額が生じた。来年度は学会参加や、試薬の購入を予定しており、予定通り執行する。
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Research Products
(8 results)