2021 Fiscal Year Annual Research Report
夜間多尿の新戦略:膀胱における知覚C線維を介した尿吸収を目指して
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19K18607
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
大江 秀樹 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 医員 (70760510)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 夜間頻尿 / 抗コリン薬 / アクアポリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦で下部尿路症状を訴える患者は多く、中でも夜間頻尿は最も多い症状である。過活動膀胱治療薬である抗コリン薬は夜間頻尿にも有効であるが、中でも短時間作用型抗コリン薬であるimidafenacin(IM)は、第3相試験のサブ解析でプラセボ群と比較して夜間尿量を有意に減少させる可能性が示唆された。その検証として施行した動物実験では、ラット利尿モデルに対し投与した抗コリン薬(IM、tolterodine (TO))が尿量を減少させることを確認した。一方、ヒトにおいて就寝中100ml以上の尿が膀胱上皮から吸収されることも報告されている。そこで抗コリン薬が尿量を減少させるのは1)膀胱における尿再吸収、2)腎での再吸収、どちらのメカニズムに起因するのかを解明するために動物実験を行った。 1)膀胱吸収:膀胱注入した生理食塩水は膀胱から吸収されたが、吸収率は注入量の10%程度であった。0.3%生理食塩水を注入した時、Na+とCl-濃度は上昇したが、0.9%生理食塩水を吸収すると共に減少した。各種抗コリン薬を用いても吸収率は一定であり、また電解質濃度、浸透圧の変化は抗コリン薬投与に関わらず一定であった。2)腎吸収:0.9%生理食塩水を持続投与して2時間後、vehicle群では尿産生のピークが出現したが、IM、atoropine(AT)、TO、desmopressin(dDAVP)では用量依存性に尿産生が抑制された。また、IMとdDAVPにより腎皮質cAMPは有意に増加した。免疫組織染色において、利尿状態ではAQP2分子は腎皮質集合管の細胞質内に分布したが、IMとdDAVP投与により管腔側へ移動が認められた。さらに尿中AQP2排泄量はIMとdDAVP投与により増加がみられた。尿中のNa+排泄量を測定するとIM高用量で尿Na+は低下し、IMにより腎でNa+の再吸収が起こっている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)