2020 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌における性ホルモン受容体シグナルと放射線感受性並びに放射線性膀胱炎との関連
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19K18620
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井手 広樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (70365360)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線照射 / 膀胱癌 / エストロゲン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト膀胱尿路上皮細胞株のエストロゲン受容体の発現をウェスタンブロットにて確認したところ、5637、T24においてエストロゲン受容体βの発現を確認できた。 従って、以上の結果から、過去の研究において浸潤性膀胱癌の予後と有意な関連を認めているエストロゲン受容体βに着目し、抗エストロゲン剤であるタモキシフェンの投与並びに、ERβノックダウンによる放射線感受性の増強効果をWST assayで確認した。結果として、5637、T24細胞両方において、タモキシフェン並びにERβノックダウンによる有意な抗腫瘍効果の増強を認めた。 更に、5637、T24の皮下腫瘍モデルを雌のSCIDマウスにて作成することに成功し、腫瘍が生着したことを確認した段階で、コントロール群、タモキシフェン単剤、放射線単独療法群、タモキシフェン及び放射線照射の併用療法群の4群に分けた。その後、皮下腫瘍の体積を経時的に測定し、照射14日後の段階で、コントロール群とタモキシフェン単剤とは腫瘍体積の有意差を認めなかった。一方、タモキシフェン、放射線治療併用群は放射線単独療法より有意に強い抗腫瘍効果を認めた。 更に、5637細胞株においてエストロゲン投与と非投与下での放射線照射を行い、24時間後のそれぞれの細胞のRNAを抽出し、マイクロアレイによる遺伝子発現の比較を行った。その結果、エストロゲン非投与群に比べ、投与群に有意に上昇したDNA修復関連遺伝子(Rad51、Rad54B)を同定した。更に5637の放射線抵抗株の樹立を試み、WSTアッセイで親株に比べ有意に放射線抵抗性が高いことを確認できた。
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