2019 Fiscal Year Research-status Report
妊娠・出産に伴う血中ケトン体の役割:胎児の成長と産後うつ病の回避
Project/Area Number |
19K18657
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
馬詰 武 北海道大学, 大学病院, 助教 (00807935)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ケトン体 / 妊娠 / 産後うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では妊娠中の母体血中ケトン体が母児に及ぼす影響の解明を目的とする。ケトン体は脂肪の分解により生成され、グルコースと並び心臓と脳の主要な栄養源である。近年、一般成人における糖質制限食(ケトン産生食)に関連して研究が進み、ケトン体が神経保護作用や抑うつという有用な効果を持つことが明らかにされた。しかし、妊娠中の糖質制限食が母体や胎児の発育へ与える影響については、危険性も示唆されてはいるが、基本的な臨床データが十分でないのが現状である。本研究では、統計解析が可能な集団サイズで、母体の血中ケトン体濃度の妊娠・出産にともなう変動を測定し、新生児の頭の大きさ、並びに産後うつ病との相関関係を定量的に明らかにする。もって喫緊の課題である母児の健康保健へつなげる。 初年度(2019年度)は、妊娠中の母体血中ケトン体濃度が児に及ぼす影響についての臨床研究を進めた。北海道内3施設で、妊娠初期・中期・後期と産後1週間以内の血液検体を収集し、また児の体重や分娩時期などの臨床情報の収集を進めた。全部で約350名の妊婦さんにご協力いただき、約1100の血液検体を解析し、研究結果の第一報をまとめている。研究2年目(全体で3年間の研究期間)の2020年度は、研究の第二段階として産後の血液中のケトン値濃度と産後うつ病の関係性を探究する。産後数日と産後1ヶ月健診での血液中ケトン体濃度を測定し、これと産後うつ病のアンケート検査(エジンバラ産後うつ病評価スケール)を比較し、産後うつ病が血中ケトン体と関係していないか、栄養のバランスが産後うつ病に影響するのではないかということを調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力施設からの血清検体収集が順調に進み、第一目標である妊娠中と産後の血清ケトンについての評価が十分に行える検体量を収集した。現在、検体の測定も終了し、臨床情報を照会しながら、妊娠中の血清ケトン体が児に与える影響について解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度から産後に焦点を絞り、産後うつ病と血清ケトン体濃度との関連を調べる新規臨床研究を開始する。すでに倫理委員会の承認を得ているが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、臨床研究開始時期が未定となっている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大で3月の研究活動が十分に行えなかったため。今年度、感染拡大が落ち着き、臨床研究の再開が可能になった段階で本来使用する予定であった英文校正料等に使用していく。
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