2021 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis for regulatory systems of focal microbiota activity in preterm labor
Project/Area Number |
19K18714
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮田 康平 福岡大学, 医学部, 准教授 (80759233)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 細菌叢 / 早産 / クオラムセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
早産は出生児の予後ならびに成育に多大な影響を及ぼす有害な周産期イベントの一つです。その原因の多くは不適切に早期に起こる陣痛ですが、陣痛発来には種々のメカニズムが関連していると考えられます。我々は腟内細菌叢に着目し、その細菌の種類ではなく生理的活性が陣痛に関連していると仮説を立てました。細菌にはクオラムセンシングと呼ばれる細菌同士のシグナル伝達経路があり、特にオートインデューサー2(AI-2)に注目して検討を行いました。 腟分泌物中のAI-2は、妊娠週数、母体年齢、子宮頸管熟化度、原疾患、新生児短期予後と相関がないこと、子宮収縮の頻度に相関があることが分かりました。また、同物質はヒト子宮平滑筋細胞の収縮を直接増強する作用があることもわかりました。この結果から、①卵膜外に局在する感染巣の細菌の活動性により早産を惹起する可能性があること、②AIのシグナル伝達物質としての特性により子宮収縮を増強させる可能性があることが示唆されました。 これらの結果から、腟内に存在する細菌の生理活性物質とその関連シグナルに新たな子宮収縮メカニズムが隠されている可能性があることを見出しました。腟は「体外」と「卵膜外の子宮内腔」をつなぐ空間であり、「卵膜外型切迫早産」の主な病態に関与する可能性があります。 本研究の成果から、クオラムセンシングを中心に子宮周囲の細菌叢の「生理的」な活動に着目することにより、主に「卵膜外感染型」切迫早産とこれに起因する早産の新たな治療戦略の確立に寄与する基礎医学的知見の集積を目指します。
|