2020 Fiscal Year Research-status Report
必須微量元素セレン欠乏に注目した急性感音難聴の病態解明
Project/Area Number |
19K18720
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大越 明 東北大学, 大学病院, 講師 (70772979)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 含セレンタンパク質 / 転写因子Nrf2 / 感音難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性感音難聴のうち原因不明のものは突発性難聴といわれ、有効な治療法が存在せず病態の解明が急務である。本研究では、過去の酸化ストレスに関する知見を もとに、含セレン蛋白質および転写因子Nrf2が感音難聴発症に関与しているとの仮説をたてて研究をすすめている。マウス遺伝学を用いてNrf2とセレン欠乏時の難聴発症の関与を示すことを第一の目標としている。 2年目にあたる今年度はマウス実験をすすめると同時に、より臨床応用への影響を高める研究にする目的で、ヒトにおけるシスプラチンによる感音難聴の発症に、含セレ ン蛋白質および転写因子Nrf2の遺伝子多型が関与しているかどうかの検討をすすめている。昨年度に院内の倫理委員会の承認を得て、前向き観察研究を開始し、現在 までに60症例超において血中セレン濃度と転写因子Nrf2の遺伝子多型を評価し、それぞれシスプラチン難聴発症との関与における検討をすすめている。症例数が増えたことで、シスプラチン難聴の発症要因と血中セレン濃度の関係が明らかになりつつある。またシスプラチン難聴の発症要因に関しては、血中セレン濃度およびNrf2多型以外の新たな要素(栄養や同時に調べている他の微量元素)の存在も明らかになりつつあり、今後の感音難聴の複雑な病態解明につながる可能性がある。一方でNrf2多型は60症例中、40症例超で解析が済んでいるももの、難聴発症の関与はNrf2発現が低いとされる遺伝子多型の患者数が少ないこともあり、証明できていない。症例数の不足が主な原因と考えこのまま継続して調査を進める予定としている。 マウス実験は現在も進行中であり、おおむね順調にすすめているものの、セレン欠乏と難聴を証明するに足る明らかなデータは得られていない。最終年度である今年度には、聴力検査の評価時期など実験手法の再確認を行い、データを再検証していく予定である。総じておおむね順調といえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス実験およびヒトにおける観察研究ともにおおむね順調にすすめているが、いずれも仮説を証明する明らかなデータはまだ得られておらず、実験数および症例数を増やしていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウス実験およびヒトにおける観察研究ともにおおむね順調にすすめているが、いずれも仮説を証明する明らかなデータはまだ得られておらず、実験数および症例数を増やしていく予定である。
|
Causes of Carryover |
研究室内ですでに購入すみの試薬等を先に使用したため予算の執行がやや遅れいているが、今後、予定のペースに戻るみこみである。
|