2020 Fiscal Year Research-status Report
メニエール病における抗利尿ホルモンによるアクアポリン2の細胞内局在に関する研究
Project/Area Number |
19K18768
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上原 奈津美 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40570502)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | メニエール病 / 内リンパ水腫 / アクアポリン |
Outline of Annual Research Achievements |
メニエール病の病理組織学的な特徴は内リンパ水腫である。近年、内リンパ水腫形成の機序に抗利尿ホルモン(VP)とそれによって制御されるアクアポリン2(AQP2)が深く関与することが明らかになってきた。しかしながら、腎臓で認められるような抗利尿ホルモンによるアクアポリン2の制御に関する直積的な報告は未だない。 本研究では、これらを踏まえた上で、マウスを使用し、内リンパ水腫形成にかかわる抗利尿ホルモンとアクアポリン2の関連を分子生物学的手法を用いて明らかにすることを目的としている。 本研究により内リンパ水腫形成の機序が解明されたならば、メニエール病の新しい治療法の確立にもつながる可能性がある。 初年度は、マウスを深麻酔下にホルマリンで経心灌流後腎臓および側頭骨を採取した。 ホルマリンでの浸漬固定後にEDTAにて脱灰し、凍結切片を作成した。 一次抗体を抗マウスAQP2抗体、二次抗体を蛍光抗体とし、コントロールとしてすでにアクアポリンの発現が確認されている腎臓でまずAQP2の発現を確認した。つぎに、側頭骨切片で内耳でのAQP2の発現を確認した。過去の我々の研究では、内リンパ水腫の際に浮腫をおこすのは、蝸牛血管条でありラットやモルモットでAQP2のmRNAの発現が確認されている。しかし蛍光抗体法を用いて検討したところ、モルモットにおける蝸牛血管条のAQP2の発現は自家蛍光を消すことができず評価できなかった。今回はマウスの蝸牛血管条におけるAQP2の発現を観察している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コントロールでの免疫染色の条件設定、内耳標本作成に当初の予定よりも難渋し、時間を要した。 より発現の変化をみるために抗利尿ホルモン負荷し、腎臓でのアクアポリンの発現の変化を確認した。 現在内耳でのアクアポリンの発現の変化をみるために抗利尿ホルモンの投与方法の条件検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウスを深麻酔下に経静脈カテーテルより抗利尿ホルモンを投与し、 in-situ hibrydization法を用いて、mRNAレベルでのアクアポリン2の発現を確認する。 同様の条件で、血管条を摘出し、ウエスタンブロット法にてAQP2蛋白の定量を行い経時的な変化を検討する。 摘出した血管条を培養液中にて24時間培養しAQP2の発現局在の経時的変化を観察、検討する。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の影響で、動物実験施設が使用できない期間や試薬品が届かないことがあり 次年度に繰り越し使用予定である。
|