2021 Fiscal Year Annual Research Report
メニエール病における抗利尿ホルモンによるアクアポリン2の細胞内局在に関する研究
Project/Area Number |
19K18768
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上原 奈津美 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40570502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メニエール病 / 内リンパ水腫 / アクアポリン / 抗利尿ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
メニエール病はめまい難聴の原因となり病理組織学的な特徴は内リンパ水腫である。近年、内リンパ水腫形成の機序に抗利尿ホルモン(VP)とアクアポリン2(AQP2)が深く関与することが明らかになってきた。しかしながら、腎臓で認められるような抗利尿ホルモンによるアクアポリン2の制御に関する直積的な報告は未だない。 本研究では、これらを踏まえた上で、マウスを使用し、内リンパ水腫形成にかかわるVPとAQP2の関連を分子生物学的手法を用いて明らかにすることを目的としている。 本研究により内リンパ水腫形成の機序が解明されたならば、メニエール病の新しい治療法の確立にもつながる可能性がある。 マウスの腎臓および側頭骨を採取し、免疫染色を行いコントロールとしてすでにAQP2の発現が確認されている腎臓でまず発現を確認した。つぎに、側頭骨切片で蝸牛血管条でのAQP2の発現を確認した。蝸牛全体に発現があり過去のモルモットの検討と同様に自家蛍光の影響も考えられた。in-situ hybrydazation法でmRNAレベルでAQP2の発現を検討したところ、免疫染色同様に蝸牛全体的に発現が見られた。内耳標本の固定時間などを再検討したところ血管条の基底細胞ではなく辺縁細胞により発現が見られた。AQP2の発現増強が予想されるVPの腹腔内へ単回投与では、AQP2の発現変化は見られなかった。そこで、VPを慢性的に5日間投与したところ血管条基底細胞側にAQP2の発現増強の傾向が見られた。一方、AQP2の発現を抑制するリチウムを投与したところ、基底細胞側発現が減弱している傾向が見られた。 さらに検討数が少ないため、数を増やしてさらに検討する必要があるが、内耳全体へAQP2は蝸牛全体に発現分布しており、抗利尿ホルモンを始めとした複数の要因で局在が変化し内リンパ水腫形成に関与している可能性があるのではないかと考えられた。
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