2020 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌患者エクソソーム由来機能性RNA解析に基づく治療抵抗性分子機序の探索
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19K18795
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
越塚 慶一 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00791609)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / マイクロRNA / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、以前に報告した頭頸部扁平上皮癌マイクロRNA発現プロファイルに基づいた解析を継続的に行っている。 現在もプロファイルから得られたいくつかのマイクロRNAの解析を行っており、miR-Xについて解析を行っている。現在までの解析ではmiR-Xを頭頸部癌細胞株に核酸導入すると、癌細胞の増殖能、遊走能、浸潤能を優位に抑制するデータが得られている。In silico解析を行い、miR-Xと配列依存的に結合する遺伝子の中から、癌遺伝子Yを同定した。miR-Xと癌遺伝子Yについては、ノックダウンによる機能解析を行う予定である。また、The Cancer Genome Atlasを用いたデータ解析では、癌遺伝子Yは頭頸部扁平上皮癌患者の予後に優位に関係することが判明している。実験データが揃い次第、論文報告を計画している。 また、頭頸部扁平上皮癌患者臨床検体からエクソソームを抽出し、クオリティの高い検体が得られている。臨床検体のサンプル数が揃い次第、シークエンス解析を行う予定である。得られたエクソソーム由来RNAから、マイクロRNAの発現解析を行っており、サンプルごとのデータを得ている。興味深い点として、今まで頭頸部癌において報告のあるマイクロRNAも、ほとんど報告のないマイクロRNAも確認している。シークエンス解析を行い、網羅的なデータを得ることで、頭頸部扁平上皮癌エクソソームがマイクロRNAを介して制御する分子ネットワークの一端を解明できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
頭頸部扁平上皮癌臨床検体の収集は問題なく進んでいる。 昨年度までクオリティの高いマイクロRNA由来エクソソームの抽出を安定して出来ていなかったが、技術向上により、安定した抽出が可能になっている。いくつかの臨床検体より、クオリティの高いエクソソームの抽出はできており、サンプル数が揃い次第、シークエンス解析を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソソーム由来RNAより、シークエンス解析を行うことにより、網羅的なマイクロRNA発現プロファイルの作成を具体的な目標としている。いくつかの臨床検体より、クオリティの高いエクソソームの抽出はできており、サンプル数が揃い次第、シークエンス解析を予定している。シークエンスより得られたマイクロRNA発現プロファイルから、統計学的に有用と判断されるマイクロRNAを見出し、頭頸部扁平上皮癌におけるそのマイクロRNAの機能解析を行う予定である。具体的には、臨床検体での発現確認、頭頸部癌細胞での発現確認、頭頸部癌細胞での機能解析、マイクロRNAが関与する分子ネットワーク解析などである。また、マイクロRNAによって制御される癌遺伝子・癌抑制遺伝子を確認し、頭頸部扁平上皮癌エクソソーム由来マイクロRNAが制御する分子ネットワークを明らかにすることを目的とする。これらの解析手法は、申請者の研究室で既に確率された手法であり、実験の実施にあたっては全く問題がないと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度予算の多くを実験に必要な試薬などの物品費にあてた。残額の36940円では実験試薬等を購入することは難しく、次年度使用額に合わせて、物品購入に使用したいと考えている。
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