2020 Fiscal Year Research-status Report
鼻副鼻腔乳頭腫の腫瘍組織におけるIL-33およびST2発現の検討
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19K18818
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
永田 善之 日本大学, 医学部, 助手 (70838911)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鼻副鼻腔乳頭腫 / IL-33 / ST2 / 上皮間葉転換 / 腫瘍増殖機序 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年は症例を集めている段階であったが、各症例の詳細データを検討し鼻副鼻腔乳頭腫症例20検体、正常コントロール症例(肥厚性鼻炎における健常粘膜組織)16検体を対象とすることとなった。各症例組織におけるHE染色で各組織の上皮構造の変化を確認したのち、上皮由来サイトカインであるIL-33およびその受容体のST2のモノクローナル抗体を用いて免疫染色を行った。鼻腔乳頭腫症例群では上皮の腫瘍性増殖をきたしたIL-33は有意な染色性を認めたが、ST2の染色は有意ではないものの乳頭腫症例で強い染色を認める傾向であった。上記結果より鼻副鼻腔乳頭腫の上皮構造において定性的ではあるが上皮由来サイトカインとしてIL-33の発現が確認された。 定量研究を行うためにサイトカインタンパク質の同定を検討していたが、研究継続には組織をマイクロダイセクション法で切り出してその部位のみの組織を検討する必要があり、技術的、コスト面(科学研究費を利用しても)で研究続行することは困難と考えた。RT-PCRなど他の定量的な方法で本年度中に検討する方針である。症例検体は揃っており追加実験はいつでも可能な状態である。 また、鼻副鼻腔乳頭腫の組織において起こりうる病態として上皮構造の変化には特殊な病態を考慮する必要がある。その上で、組織構造の変化に上皮間葉転換という機序を本研究では新たに検討する方針とする。IL-33は上皮間葉転換に関連するという報告がこれまでになされており、組織における上皮間葉転換の証明を検討するために、現在そのマーカーの組織中の検討を行うとともにIL-33の発現との相関を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例の調整は済んでいるが、定量的な研究を進める上で技術的、金銭的な問題で研究継続が困難となっている。現在より安価で技術的に容易にできる方法を検討中である。 また、上皮間葉転換に関する検討に関しては、腫瘍発現の病態を調べ論文作成する上で結果から考察に繋げる大切な実験となるが、これから行う実験となるため遅れをかんんじている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずサイトカインの発現に関する定量的なデータを出す必要があり、現実可能な手法を見出し実験に繋げる必要がある。それが済んだ段階で、組織中のIL-33、ST2などのタンパク質発現の結果として、発現したと思われるタンパク質として上皮間葉転換に関係するタンパク質としてE-カドヘリン、Slug、フィブロネクチンなどのタンパク質の発現の確認を検討したい。それによって、腫瘍の発現に上皮間葉転換の機序および、その上流の機序として自然免疫などの関与も検討できると考えている。
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Causes of Carryover |
前年度使用を検討していた金額に関しては、タンパク同定実験に関して外部委託依頼を検討していたが、見積もりの段階で予算が足りなかったため、オーダーできず使用できていない。次年度は研究費の予算内で対応できるようにオーダーする症例数を限定する予定である.
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