2023 Fiscal Year Annual Research Report
鼻副鼻腔乳頭腫の腫瘍組織におけるIL-33およびST2発現の検討
Project/Area Number |
19K18818
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
永田 善之 日本大学, 医学部, 助教 (70838911)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鼻副鼻腔乳頭腫 / IL-33 / ST-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
鼻副鼻腔乳頭腫の症例におけるIL-33およびST-2の発現について検討を行った。正常コントロール症例群(12症例)、慢性副鼻腔炎症例群(22症例)、鼻副鼻腔乳頭腫症例群(24症例)の3群間で、免疫染色における染色性(染色の程度のグレード判定実験)、タンパク質レベル(Western blot法による定量実験)、mRNAレベル(In situ hybridaization法による定量実験)の有意差検定(一元配置分散分析による郡間比較)を行った。免疫染色の染色性について、IL-33は正常コントロールや慢性副鼻腔炎群と比較すると鼻腔乳頭腫群で、染色性の有意差を認めた。しかし、 ST-2に関しては、3群ともに組織の部分的な染色にとどまり、有意差検定において明らかな差は見られなかった。タンパク質レベル、mRNAレベルにおいて検討した結果は類似していた。慢性副鼻腔炎と鼻腔乳頭腫の症例群において、IL-33の発現が両者ともに正常コントロール群と比較して高値であったが、有意差はみられなかった。ST-2に関しては3群間において、発現レベルは低く有意差もみられなかった。これは、タンパク質レベル、mRNAレベルともに同様の結果であった。 本検討では、IL-33は慢性副鼻腔炎でも鼻腔乳頭腫でも 上皮への刺激が起こった結果として発現するタンパク質であり、IL-33は炎症性疾患、腫瘍性疾患ともに類似した動態を示すマーカーであることがわかる。ST-2 に関しては、発現が見られる細胞は免疫染色で確認できなかった。鼻腔乳頭腫における発現を期待したが、これも発現細胞が不明であり、発現していてもごく軽度であり、病態への関与は不明である。 本研究の結果から、鼻副鼻腔乳頭腫におけるIL-33およびST-2の発現は特異的でないことが示唆され、実臨床への本研究データの応用は難しいことが確認できた。
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