2019 Fiscal Year Research-status Report
骨細胞の生存シグナルとしての8-nitro-cGMPの機能解析
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19K18952
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
長山 和弘 昭和大学, 歯学部, 普通研究生 (30827035)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨細胞 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨代謝 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
骨細胞は骨中に存在する細胞で、骨表面の骨芽細胞が分化したものと考えられている。骨細胞は突起を出して互いに連結しており、骨への力学的負荷を受容し骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収を調節しているとされている。骨細胞による骨代謝調節を担う因子として、骨細胞が骨芽細胞による骨形成を抑制するスクレロスチンを分泌し、破骨細胞分化誘導因子であるRANKLを発現することが報告されている。また、骨細胞の細胞死が骨粗鬆症の原因となることが示唆されている。また、一酸化窒素が骨代謝を制御することが知られており、また、酸化ストレスは骨形成を抑制し、骨吸収を促進すると言われている。我々はこれまでに、骨を構成する主な細胞として、破骨細胞、骨芽細胞、骨細胞で、一酸化窒素と活性酸素種のセカンドメッセンジャーである8-ニトロ-cGMPが生じていることを見出している。本年度は、骨細胞の前駆細胞と考えられる骨芽細胞の分化における8-ニトロ-cGMPの機能を解析することとした。その結果、骨芽細胞における8-ニトロ-cGMPの産生は、骨吸収を亢進させる炎症性サイトカインの刺激で促進されることが分かった。さらに、生じた8-ニトロ-cGMPは、骨芽細胞の石灰化を強く抑制した。この結果は、8-ニトロ-cGMPが骨形成を抑制するとともに、骨細胞への分化を抑制する可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化ストレスおよびニトロ化ストレスの新規シグナル分子である8-ニトロ-cGMPが骨組織構成細胞である、骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞で生じていることを明らかにしており、骨形成に抑制的に作用していることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
骨芽細胞から骨細胞への分化に対する8-ニトロ-cGMPの作用および8-ニトロ-cGMPの分解の開始因子である活性イオウ分子種の作用を解析する。また、骨細胞培養系に8-ニトロ-cGMPを添加あるいは活性イオウ分子種の産生調節を行うことで、骨細胞におけるスクレロスチン産生とRANKL発現の変化を解析する。さらに、骨細胞に糖質コルチコイドを添加し、骨細胞の細胞死、スクレロスチン産生、RANKL発現に対する8-ニトロ-cGMPを添加あるいは活性イオウ分子種の産生調節の影響を解析する。
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Causes of Carryover |
これまで2週間の前培養で骨細胞に分化する細胞株を使用していたが、安定した骨細胞系を得て実験開始するまでの時間が必要なことから、サイトカイン産生実験の一部を実施しなかった。来年度は、前培養の必要ない骨細胞株を導入し、実験系を改善する予定である。そのための培養器具、培地、試薬類を購入する必要があるため、本年度予算の一部を次年度使用することとした。
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