2019 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンと自然免疫を介したシェーグレン症候群の新たな病因論の構築
Project/Area Number |
19K18965
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
牛尾 綾 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 特別研究員(PD) (40823836)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / シェーグレン症候群 / マクロファージ / ケモカイン / 性ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫システム異常は自己免疫疾患を含む様々な免疫難病の誘引となる。自然免疫は、従来、獲得免疫系始動のための一時的機構とされていた。近年、この自然免疫機構の異常や、獲得免疫機構との相互作用の異常が自己免疫疾患の病態に関わるとされている。本研究では自己免疫疾患の中でも特に外分泌腺を標的とし、口腔においては唾液分泌障害により様々な不快症状を引き起こすシェーグレン症候群の自然免疫細胞に着目している。また、シェーグレン症候群では約3割の患者に肺や肝臓などに線外病変を合併することも知られており、これらの合併が患者の予後に大きく関与することから、肺組織病変についても検討した。モデルマウスの唾液腺及び肺組織懸濁液を用いたフローサイトメトリック解析によると、唾液腺・肺共に自然免疫細胞の中でも特にマクロファージが増加しており、シェーグレン症候群の腺病変・腺外病変の両方でマクロファージが重要な役割を担うことが示唆された。しかし、唾液腺ではT細胞優位な病態形成が認められるのに対し、肺ではB細胞の割合が増加しており、さらに唾液腺と肺では主にマクロファージが産生するとされているケモカイン類の発現パターンも異なっていた。以上の結果から、シェーグレン症候群の腺病変・腺外病変共にマクロファージが各臓器特異的に重要な役割を担うことが示唆された。これらの結果を今年度は日本病理学会、歯科基礎医学会、日本免疫学会で発表した。 また、多くの自己免疫疾患は女性優位に発症するが、その中でもシェーグレン症候群は特に性差がみられるため、マクロファージ制御因子としての性ホルモンにも着目している。エストロゲンは代表的な性ホルモンのひとつであるが、自然免疫細胞にも発現していることが知られている。そこで、現在マクロファージでエストロゲンレセプターを欠損させたコンディショナルノックアウトマウスの作成にとりかかっている。
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[Journal Article] Achaete-Scute Homologue 2-Regulated Follicular Helper T Cells Promote Autoimmunity in a Murine Model for Sjogren Syndrome.2019
Author(s)
Otsuka K, Yamada A, Saito M, Ushio A, Sato M, Kisoda S, Shao W, Tsunematsu T, Kudo Y, Arakaki R, Ishimaru N.
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Journal Title
Am J Pathol.
Volume: 189(12)
Pages: 2414-2427
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Novel effects of rooibos extract on tear and saliva secretion mediated by the muscarinic acetylcholine receptor 3 in mice.2019
Author(s)
Arakaki R, Ushio A, Kisoda S, Sato M, Nakamura Y, Yuyama K, Tateyama R, Morishita S, Monoi N, Kudo Y, Ishimaru N.
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Journal Title
J Oral Biosci.
Volume: 61(3)
Pages: 179-182
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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