2019 Fiscal Year Research-status Report
歯根膜エクソソームとWntシグナルを基軸とした次世代歯周組織再生療法の基盤構築
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19K18984
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
向阪 幸彦 東北大学, 大学病院, 医員 (10760457)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯学 / 再生医療 / シグナル伝達 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームは細胞から分泌される膜小胞であり、タンパク質のみならずメッセンジャーRNAやマイクロRNAなども含めた膨大な情報伝達物質を他の細胞に伝達する役割がある。また歯根膜線維芽細胞においてはエクソソームの分泌がメカニカルストレスにより誘導されることを報告している。一方で歯周組織の再生に不可欠であるセメント芽細胞の分化制御には分泌型糖タンパクWntのシグナル伝達経路が関与することが報告されている。本研究の目的は、エクソソームとWntシグナルのコンビネーションによるセメント芽細胞の分化成熟作用を応用した歯周組織再生誘導法の開発である。 今年度は硬組織形成細胞自体に対するメカニカルストレスの作用を検討するためにセメント芽細胞の前駆細胞と考えられているマウス歯小嚢細胞株にメカニカルストレスを与えてエクソソームの分泌量の変化を解析した。マウス歯小嚢細胞株をⅠ型コラーゲン600μgをコーティングしたチャンバー(32×32×10mm)に播種した後、周期的細胞伸展装置STB-140(Strex Co.)を用いて伸展刺激を行ったところ、伸展刺激により培養上清中のエクソソーム量の増加を認めた。さらに条件を検討したところ、伸展率20%による2日間刺激においてエクソソームの分泌が最も誘導された。 次年度は上記の知見をもとに分泌されたエクソソームによって誘導されるシグナル伝達経路を解析し、それを基盤としてWntシグナルとの硬組織形成誘導能の促進効果を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はメカニカルストレスによるエクソソーム分泌誘導の解析をマウス歯小嚢細胞を用いて行ったところ、歯根膜細胞と同様にマウス歯小嚢細胞においても周期的伸展刺激によるエクソソームの分泌誘導が示唆された。この知見をもとにWntシグナルとの併用による硬組織形成誘導能の解析を次年度の継続課題とすることができるので、現在までの研究の達成度は概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
分泌誘導されたエクソソームの機能解析およびWntシグナルとのクロストークを検討し、両刺激を併用した際の硬組織形成誘導の相乗効果を検討することが今後の研究の目標となる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 今後2019年度請求額と合わせ、2020年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)