2019 Fiscal Year Research-status Report
オンデマンドで撤去可能な歯科用スマートセメントのインプラントへの応用
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19K19054
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武川 恵美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (50633872)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯科 / セメント / 通電 / インプラント |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科臨床におけるインプラント治療法は、ブリッジや義歯と比較して歯を削除することなく口腔の機能回復が実現できる有効な補治療である。インプラントの人工歯(上部構造)の固定様式の1つとしてセメント固定式があり、セメントで接着しているため審美性や耐久性に優れるが、定期的な撤去が困難で上部構造や周囲組織の洗浄には不利である。 そこで本研究では、申請者らがこれまでに開発した、「強固な接着」と通電による「容易な分離」を両立したスマートな歯科用セメントを、セメント固定式インプラントに応用し問題解決を行うため、上部構造の素材である非導電性素材(セラミックス、ハイブリッドレジン)を介したセメントへの通電を可能にする設計とその評価を行い、インプラントの新たな着脱様式の開発を目指している。 今年度は、非導電性素材と導電性素材を合わせた複合素材に対するスマートセメントのせん断強度を調べた。まず、陰極となるCu棒を埋め込んだ透明アクリル板と、陽極となるCu板をスマートセメント(イオン液体濃度=0 wt%、10 wt%、15 wt%、20 wt%)で接着した板状試料を作製しせん断強度試験を行った。0 wt%のせん断強度は、約9 MPaで、10~15 wt%とイオン液体濃度が増加してもせん断強度はほとんど低下せず、20 wt%では約6 MPaまで低下した。また、陰極がCuのみの0 wt%のせん断強度も約9MPaで、セメントがアクリルとの接着にほとんど関与していないことも考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は非導電性素材(セラミックス、ハイブリッドレジン)を介したセメントへの通電を目指している。まず、初年度は非導電性試料と導電性試料を合わせた複合材料の作製とその試料に対するスマートセメントの接着強度の評価を行い、イオン液体を添加しない通常のセメントと同等の機能を果たすことが可能な添加量を絞り込んだ。現在まで、おおむね予定通りに進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン液体添加量10wt%、15wt%のスマートセメントに対して通電を行い、電圧、通電時間を変化させたときの接着強度を調べ、適切な通電条件を絞り込む。アクリルに対して良好な結果が得られれば、同様のデザインでアクリルをハイブリッドレジン・ジルコニアに代え、同様にしてスマートセメントの接着強度及び通電性を調べる。
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Causes of Carryover |
初年度は、試料の作成方法及び実験方法の試行錯誤に労力を割くであろうことを見越して多めに試料の材料費を計上していた。幸いにもスムーズに研究を立ち上げることができたので、次年度使用額が生じてしまった。 来年度はハイブリッドレジン、ジルコニア、イオン液体、セメント、Ti板、Ti棒を購入する予定である。また、今年度の実験結果から、来年度は実験条件数が増加し、申請時の計画以上に試料が必要となる。よって、次年度使用額をこれに充てる予定である。
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Research Products
(1 results)