2019 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼・嚥下・呼吸の相互変調効果に関する神経学的解析
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19K19120
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
那小屋 公太 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10806491)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 咀嚼 / 嚥下 / 呼吸 / 神経記録 / ニューロン記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会の到来に伴い、高齢者の摂食嚥下障害がもたらす低栄養や誤嚥性肺炎の問題が顕在化している。摂食嚥下障害を有する高齢者の多くは咀嚼をはじめとする口腔機能や呼吸機能にも問題を抱えている。摂食嚥下運動において、適切な食塊形成を目的とする咀嚼運動や呼吸運動と嚥下運動の協調は欠かせないが、それぞれの神経機構やお互いの相互作用についてはほとんど知られていない。本研究は、ニューロン記録を用いて、脳幹延髄レベルにおける咀嚼、嚥下、呼吸の機能的相互作用を明らかにすることを目的とした。令和元年度は、麻酔下動物にて嚥下誘発に関わる末梢および中枢からの入力先である孤束核を含む網様体に分布する嚥下関連ニューロンから単一ユニット記録を行うにあたり、非動化状態において咀嚼、嚥下、呼吸の同定を安定して行うための実験を行った。非動化状態では筋電図による咀嚼、嚥下、呼吸の同定は不可能であるため、各々に関連する神経から神経記録を行う必要がある。過去の文献から、咀嚼は咬筋神経や顎舌骨筋神経、嚥下反射は舌下神経、迷走神経、横隔神経から、呼吸は横隔神経からの神経記録により同定が可能であることが報告されている。本研究でも前述の神経から記録を試みているが、安定して記録を取れておらず、咀嚼、嚥下、呼吸を同時に同定するに至っていない。ニューロン記録を行う上で咀嚼、嚥下、呼吸を同時に同定することは必須であり、今後安定して神経記録が取れるよう技術的な向上が望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和元年度は、麻酔下動物にて嚥下誘発に関わる末梢および中枢からの入力先である孤束核を含む網様体に分布する嚥下関連ニューロンから単一ユニット記録を行う予定であったが、ニューロン記録を行う前段階である神経記録実験までにとどまっている。ニューロン記録を安定して行うためには、実験動物の非動化が必要であり、非動化状態において咀嚼、嚥下、呼吸のいずれに関連しているニューロンか同定するためのには関連する神経から神経記録を取る必要がある。咀嚼同定に関しては咬筋神経や顎舌骨筋神経、嚥下反射の同定には舌下神経、迷走神経、横隔神経、呼吸同定には横隔神経からの記録が必要であるが、現状では安定した記録ができていない。そのためニューロン記録までは至っておらず実験計画としては遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
非動化状態において咀嚼、嚥下、呼吸を安定して同定できることが大前提である。その上で次年度は嚥下誘発に関わる末梢および中枢からの入力先である孤束核を含む網様体に分布する嚥下関連ニューロンからニューロン記録を行い、咀嚼運動(大脳皮質咀嚼野電気刺激)、口腔感覚刺激(三叉神経核電気刺激)によりどのような変調を受けるか明らかにする。神経記録が安定して取れない場合は、ニューロン記録の精度としては落ちる可能性が考えられるが、非動化を行わず、筋電図記録にて咀嚼、嚥下、呼吸を同定し同様の実験を行う。
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Causes of Carryover |
令和元年度はニューロン記録の実施を予定していたが、神経記録に関する実験のみにとどまったためニューロン記録用に購入を予定していた物品分当初の予定より低い支出となった。令和2年度は当初予定していた実験器具等の購入は見送り、安定した記録が得られるよう、記録装置の購入を検討したい。
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Research Products
(7 results)