2019 Fiscal Year Research-status Report
老化・加齢に伴う口腔疾患に対するラパマイシンを利用した新たな治療薬・治療法の探索
Project/Area Number |
19K19155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 学 大阪大学, 歯学部附属病院, 技術職員 (50643376)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 唾液腺 / mTORシグナル経路 / 唾液腺発達 / ラパマイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、老化に伴う口腔乾燥症状(ドライマウス)を含めた多くの口腔疾患に対する新たな治療薬や治療法の研究開発を目的とする。口腔乾燥症状は有効な治療は確立されておらず、対症療法に留まっているのが現状である。そこで本研究では、近年注目が高まっており今後活発な研究がなされるであろう老化・加齢分野に着目し、老化・加齢に伴う口腔疾患に対する次の2点ついて検証する。 ①唾液腺の器官培養を利用し、ラパマイシンが与える唾液腺への影響とメカニズムの解析 ②老化促進 klotho マウスを利用し、ラパマイシンを使用した新規治療薬や治療法の開発 検討において、免疫抑制剤や抗悪性治療薬として使用されており、近年老化研究において抗老化作用の可能性があると注目を浴びているラパマイシン(mTORシグナル経路の阻害剤)を使用した。令和元年度はラパマイシンが唾液腺に与える影響を解析するため、唾液腺の器官培養を利用してラパマイシンが唾液腺に与える影響とメカニズムの解析を行った。その結果、mTORC1とmTORC2の両方を含むmTORシグナル経路が、唾液腺の発達に重要な役割を果たすことを明らかにした。PI3K阻害剤であるLY294002を使用したmTORシグナル経路の解析では、唾液腺の発達はPI3K/AKT経路を介しており、このmTORシグナル経路がS6Kや4eBP1などの下流の基質を調節することを示した。また、mTOR阻害剤であるラパマイシンを使用した解析では、ラパマイシンがmTORC1シグナル経路を介して唾液腺の発達を調節することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は唾液腺の器官培養を利用し、ラパマイシンの唾液腺への影響とそのメカニズムを解析する予定であり、解析方法は器官培養後の唾液腺の形態学的観察(HE・免疫染色)やラパマイシンが阻害するmTORシグナル経路に関連するタンパク(S6kinase、4eBP1、CyclinD1など)の発現変化をWestern blotやRT-PCRを利用して明らかにする計画であった。令和元年度は計画通りに検討が進み、予定通りの進捗で終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は唾液腺の器官培養を利用し、mTORC1とmTORC2の両方を含むmTORシグナル経路が、唾液腺の発達に重要な役割を果たすことを明らかにした。PI3K阻害剤であるLY294002を使用したmTORシグナル経路の解析では、唾液腺の発達はPI3K/AKT経路を介しており、このmTORシグナル経路がS6Kや4eBP1などの下流の基質を調節することを示した。また、mTOR阻害剤であるラパマイシンを使用した解析では、ラパマイシンがmTORC1シグナル経路を介して唾液腺の発達を調節することを示した。次の検討は令和元年度に明らかにされた唾液腺に対するラパマイシンの効果を参考にし、老化研究のモデルマウス(klothoマウス:多彩な老化徴候を示し、生後約100日で老化により死亡する)を利用してラパマイシンの導入効果をin vivoで判定する。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた抗体セットの購入費が少なく済んだこと、またまだ新しいパソコンやサイトカイン測定キットの購入をしていないため次年度使用が生じた。更には日程の関係から当初予定していた学会に出席できなかったことから、学会参加費、旅費が不要となった。 次年度は新しいパソコンやサイトカイン測定キットを購入するための予算を計上する。また、国内外の学会参加費も支出予定である。
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Research Products
(5 results)