2021 Fiscal Year Research-status Report
老化・加齢に伴う口腔疾患に対するラパマイシンを利用した新たな治療薬・治療法の探索
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19K19155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 学 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (50643376)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 唾液腺 / mTORシグナル経路 / ラパマイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、加齢に伴う口腔乾燥症状を含めた多くの口腔疾患に対する新たな治療薬や治療法の研究開発を目的とする。口腔乾燥症状は有効な治療は確立されておらず、対症療法に留まっているのが現状である。そこで本研究では、近年注目が高まっており今後活発な研究がなされるであろう老化分野に着目し、加齢に伴う口腔疾患に対する次の点ついて検証する。 ①唾液腺の器官培養を利用し、ラパマイシンが与える唾液腺への影響とメカニズムの解析 ②老化マウスを利用し、ラパマイシンを使用した新規治療薬や治療法の開発 ①については2019年度にラパマイシンが唾液腺の発達に影響を与えていることを明らかにしており、現在は②についての検討にはいっている。老化マウスにはC57BL/6J-Aged マウスを使用した。まず、年齢を3群(若年:13週齢、中年:49週齢、老年:97週齢)に分類し、加齢に伴う飲水量や食餌、唾液腺の組織形態を観察した。その結果、加齢に伴い飲水量は増加し、食餌量は減少した。また唾液腺の組織像は、加齢に伴い炎症細胞が増加していた。更に、唾液腺の機能マーカーであるアクアポリン5、唾液アミラーゼ、ムスカインレセプターの発現を免疫染色で確認したところ、加齢に伴いすべての機能マーカーの発現が減少していた。今後は唾液腺に対する老化の影響を更に検討するため、SASP(細胞老化関連分泌現象)に関与するサイトカインと酵素の発現変化を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に生じた使用するマウスの選定に時間を要したこと、また新型コロナウイルスの影響により研究活動が制限されていたことにより進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで加齢に伴い飲水量の増加や食餌量の減少、唾液腺組織に炎症細胞が増加していたこと。更には唾液腺の機能マーカーであるアクアポリン5、アミラーゼ、ムスカインレセプターの発現が加齢に伴い減少していたことなど、唾液腺の加齢に伴う機能変化を明らかにした。今後は唾液腺中のSASP(細胞老化関連分泌現象)に関与するサイトカイン(p21、p53、 p16Ink4a、IL6、CXCL2など)の発現変化、血液の成分変化を解析する。
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Causes of Carryover |
マウスの選定やコロナの影響で研究の進捗がやや遅れており、当初予定した物品(ELIZAキット、PCR検査キットなど)の購入を見送ったため次年度使用額が発生した。
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Research Products
(4 results)