2022 Fiscal Year Research-status Report
老化・加齢に伴う口腔疾患に対するラパマイシンを利用した新たな治療薬・治療法の探索
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19K19155
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
酒井 学 天理医療大学, 医療学部, 講師 (50643376)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 老化 / 唾液腺障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年はB6J Aged(正式系統名:C57BL/6J-Aged マウス)を使用して検討を行った。昨年度、マウスの年齢を3群(若年:13週齢、中年:49週齢、老年:97週齢)に分類し、老化に伴う飲水量や食餌、唾液腺の組織形態を観察した。その結果、老化に伴い飲水量は増加し、食餌量は減少した。また唾液腺の組織像は、老化に伴い炎症細胞が増加していた。そこで、本年度は唾液腺の加齢に伴うリンパ球浸潤を免疫染色で確認し、その結果CD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞が唾液腺の導管部分に有意に増加していることを確認した。更に、老化マーカーであるがん抑制遺伝子p21WAF1/Clip、p53、 p16INK4aとSASP因子(IL-6、TNF-α、MCP-1)の発現量をRT-PCRにより3群間で比較した。その結果、p21WAF1/Clip、p53では値に有意差は見られなかったが、p16INK4aでは97週齢マウスでは高値であった。また、SASP因子のうち、IL-6、TNF-αの2つは97週齢マウスにおいて有意に高値であった。これらの結果は、老化に伴う唾液腺組織おいて、リンパ球などの免疫細胞の集合により炎症が発生すること、かつその原因が老化細胞が放出する老化マーカーやSASP因子がによる可能性が示唆された。今後は、免疫細胞と老化マーカーや老化因子がどのようなメカニズムを介して唾液腺組織に影響を与えているのかを分子生物学的手法によろ解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の前半は予定通り進んでいたが、後半は所属の異動に伴う手続き等で進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の新しい所属先では動物実験の申請を含め、新規機器、試薬、消耗品の購入など、今年度の前半までは研究の推進が難しい状況である。しかしながら後半からはすべての条件を揃えられることから、可能な限り当初の予定通りに進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたRT-PCR用の購入費が少なく済んだこと、また後半は異動に伴う手続きがあり研究が進められなかったため次年度使用額が生じた。次年度からは新しい所属機関で研究を進めることができるため、新規機器、試薬、消耗品を購入するための予算を計上する。また、国内外の学会参加費も支出予定である。
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Research Products
(3 results)