2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K19314
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
米田 俊樹 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (60756071)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 慢性歯周炎 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、体液中のmicroRNA(miRNA)が様々な疾患のバイオマーカーとして注目されている。歯周組織中においても、miRNAの発現が歯周病の病態に従って変化する 可能性があることが報告されている。また、血液中においてもmiRNAが含まれており、血液中のmiRNAは、歯周状態を反映する新たなバイオマーカーとなり得る可能性がある。本研究では、慢性歯周炎患者および歯肉健常者から採取した血液を用いて、血液中miRNAの網羅的な発現解析(トランスクリプトーム解析)を行 い、歯周病の病態を反映する血液中miRNAを探索することを目的とする。2019度は、岡山大学病院に来院した慢性歯周炎患者30名を対象とした横断研究を行った。妊婦、40歳未満の者、抗炎症薬の使用者、3か月以内に歯周組織に急性 炎症のあった者は除外した。コントロール群として更に30名の歯肉健常者を年齢、性別、喫煙の有無、糖尿病の有無をマッチさせて選別した。カルテから患者情 報を収集するとともに、生活習慣・全身の健康に関する質問調査および歯周組織検査(歯周ポケット深さ、クリニカルアタッチメントレベル、プロービング時出 血および歯垢付着指数)を行った後、採血した。採取した血液サンプルからmiRNAを抽出した。抽出したRNAを外部機関(東レ)に委託し、マイクロアレイを実施 し、血液中miRNAの発現を網羅的に分析した。その結果7つのmiRNAが群間で異なる発現を示した。(fold-change>1.5,またはfold-change<0.67)(p<0.05)2020年度では、マイクロアレイにおいて群間で異なる発現を示した7つの血液中miRNAについて逆転写リアルタイムPCRを行った。その結果歯周病群におけるhsa-miR-664a-3p、hsa-miR-501-5pおよびhsa-miR-21-3pにおいて歯周病群の発現が歯肉健常者群と比べて有意に高くなった。(p<0.05)これらの結果は血液中のmiRNAが歯周状態を反映するバイオマーカーとなる可能性を示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、逆転写PCR法まで順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
特定されたmiRNAの及ぼす作用についてバイオインフォマティクス解析や培養実験により検討する。
|
Causes of Carryover |
PCR法に生じた物品費が想定より低かったため、次年度使用額が生じた。 次年度は培養実験やバイオインフォマテクス解析に使用する予定である。
|