2019 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of adherence with using electronic patient diary by pharmacist in cardiovascular outpatients
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19K19366
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
尾関 理恵 東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (60801991)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 経口抗凝固薬 / 処方率 / 副作用 / アカデミック・ディテーリング / 医薬品比較システム / 処方支援 / 臨床薬剤師 / 電子患者日誌 |
Outline of Annual Research Achievements |
①抗凝固薬使用状況に関する調査:聖路加国際病院において、過去5年間で使用された抗凝固薬の調査を行った。対象患者3,439名に対する処方薬、処方量、処方日数をデータ抽出し、さらに副作用のキーワード検索により副作用の発現有無及び薬剤毎の副作用発生頻度について解析し、2020年3月にAmerican College of Cardiology 2020/ World Congress of Cardiologyで発表した。副作用の詳細な解析については第84回日本循環器学会学術集会にて報告予定である。 ②アカデミック・ディテーリング支援システムの開発:添付文書からの相互作用、シトクロムP450などの代謝、半減期の違いなどを比較できるシステムを設計し、システム会社に委託した。2020.1.26に東京理科大学薬学部医療薬学教育研究支援センターエキスパート養成講座において、薬剤師を対象に、心臓リハビリチームにおける薬剤師の役割をテーマに、病院勤務の臨床薬剤師や聖路加国際病院の理学療法士らの協力を得て、実際の症例をベースとした症例の問題抽出やアカデミック・ディテーリングツールを使用した抗凝固薬の処方提案についてアクティブラーニングを行った。第26回日本心臓リハビリテーション学会学術集会にて報告予定である。 ③電子患者日誌の開発:新たに開発したがん患者用の電子患者日誌を土台に抗凝固薬内服中の患者向けにカスタマイズした画面設計を行い、システム会社に制作を委託した。今後、電子患者日誌を使用した服薬継続率、患者のセルフケアをサポートする効果を検証する臨床試験を実施予定である。 ④外来薬剤師の配置:聖路加国際病院循環器内科において、外来に薬剤師が陪席し、アカデミック・ディテーリングツールを使用した処方提案を行い、処方変更時には変更理由や経過を収集している。今後、薬剤師配置効果に関する調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①抗凝固薬使用状況に関する調査については、先行研究より見込んでいた800例を遥かに超える3,000例以上が対象となったためやや遅れている。主要評価項目については解析ができているが副次評価項目については研究期間を延長し、現在も解析を継続しているところである。 ②アカデミック・ディテーリング支援システムについては、画面設計を行い、システム会社に開発を委託した。新たにアカデミック・ディテーリングシステムを用いた医薬品比較情報、国内外のガイドライン、臨床試験情報を基礎に抗凝固薬のアカデミック・ディテーリングの際に使用する資材を作成し、実際にエキスパート養成講座で使用した。今後、参加者アンケートを基にシステムと資材の充実を目指す。 ③電子患者日誌については、抗凝固薬の服薬コンプライアンスを上げることを目的として画面設計などカスタマイズし、システム会社に開発を委託した。6月中旬には開発が終了し、今後、「循環器外来薬剤師による電子患者日誌を活用した服薬アドヒアランス向上を検証するランダム化比較試験」について、倫理審査を受け、実際の患者に対し使用を開始する予定である。 ④外来薬剤師の配置効果については協力いただいている聖路加国際病院が、新型コロナウィルス肺炎の拡大による感染防止のため、3月以降は中止している。今後状況をみながら再開する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.抗凝固薬使用状況における調査:5年間のカルテ調査から、一施設ではあるが抗凝固薬の処方状況を把握し、リアルワールドでの処方内容、処方量を明らかにする。抗凝固薬のアカデミック・ディテーリングシステムを使用し、外来薬剤師が処方支援を行うことで、処方の適正化を目指す。さらに、副作用の発現状況を調査することで出血のリスク要因を明らかにし、アカデミック・ディテーリングツールのさらなる充実につなげたい。 2.電子患者日誌の実装と有用性の調査:電子患者日誌は患者が服薬自己管理するためのツールであり、服薬忘れに対するアラートを使用することでアドヒアランス低下を防止し、さらに患者自身の体調を記録することで副作用の早期発見を可能とすることを目的としている。本電子患者日誌は医療者画面も有し、患者を主体として治療を継続するモチベーションを効率的に医療者がサポートできる仕様としている。今後は倫理審査委員会による承認を得た上で、実際の患者さんに使用していただき、服薬達成率と電子患者日誌の使用感を調査する予定である。また、アンケート結果を基に、電子患者日誌をさらに使いやすいものへと改良する。 3.外来薬剤師の配置効果:現在がん領域において、外来薬剤師の配置が進んでいる。循環器領域において、外来薬剤師を配置することで、定期的な薬剤指導が患者の服薬に対する知識とアドヒアランス向上に寄与することを目指した研究を行う。具体的には、外来通院中の患者にアンケート調査を行い、病気に対する知識、服薬に対する意識調査、服薬状況を外来薬剤師配置前後について調査する予定である。外来服薬指導として、当初、医師の外来に陪席していたが、コロナ禍の影響により、三密を避ける必要があるため、別室にて薬剤指導を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、3月に予定されていた米国シカゴのAmerican College of Cardiology 2020/ World Congress of Cardiologyがオンライン開催となり、国内では第84回日本循環器学会学術集会が7月に延期、かつオンライン学術集会となったため、交通費として予算計上していたが、次年度へ繰り越しとなった。そこで、今年度開催される学会旅費や海外視察費用へ振り替える予定である。また、抗凝固薬電子患者日誌に関して、医療者側でも使用できる仕様への変更に対する追加費用や今後の改修予算、ランニングコストとして使用する予定である。
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Research Products
(14 results)