2019 Fiscal Year Research-status Report
NDBオープンデータを用いた精神神経領域の疾患に対する診療の適正化に関する研究
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19K19379
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉村 健佑 千葉大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60801735)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | NDBオープンデータ / リアルワールドデータ / レセプトデータ / 向精神薬 / 医療費 / 地域差分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度(2年計画の1年目)は、査読有り学術論文2編(和文1編、英文1編)を投稿し受理された。英文「Dissemination of cognitive behavioral therapy for mood disorder in Japan from FY2010 to FY2015: a descriptive study using the nationwide claims database.」BMJ Open.(印刷中.)、和文「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用した糖尿病治療薬等からみた医療費の都道府県別地域差分析」日本公衆衛生雑誌.(印刷中)である。 英文論文は研究目的の「NDBオープンデータを最大限に活用し、精神神経領域の主要疾患の診療行為や薬剤の使用実態を可視化しさらに経年変化を分析する」と合致する。和文論文は本研究の期待される成果の「NDBオープンデータの分析手法が確立し、医療ビッグデータ研究推進に有意義な知見が提供できる」に該当し、精神神経領域分野に限らない分析手法の確立に寄与した。 2019年6月、第115回日本精神神経学会にて、「シンポジウム科学的根拠に基づいた精神保健医療政策立案:レセプトデータ用いた保険診療の実態分析」、「NDBオープンデータを活用した我が国における高齢者に対する抗うつ薬の使用実態.」と複数報告を行った。 2019年9月、WHO/在ジュネーブ国際機関日本政府代表部研究会にて、「Current status of Medical Data utilization in Japan.」と題し、国際情勢に照らした日本の状況についての知見を得た。 2019年11月、第29回日本臨床精神神経薬理学会にて、「レセプトデータ用いた向精神薬の使用実態の解析」と題して報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究目的の「厚生労働省により公開されているNDBオープンデータを最大限に活用し、精神神経領域の主要疾患の診療行為や薬剤の使用実態を可視化し、さらに経年変化を分析する」については学術論文・学会発表を通じて研究成果を公開することで達成しつつある。 また、研究計画書に記載した「期待される成果」として「精神神経領域の診療内容について地域差および経年変化について検討し、適切な診療内容の提供と地域をまたいだ均霑化に向けた政策立案に向けた資料を提供する」ことに見通しを立てることができた。 この成果によりNDBオープンデータを用いる研究者に必要な知見を還元することができた。現に、他の研究施設より共同研究の申し出を複数頂いている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、引き続き診療行為別の実態について分析を継続し、さらには「各診療ガイドラインの改定や診療報酬改定にどの程度影響を受けているかの5年分のデータから年次推移の傾向を明らかにし、保険診療の適正化に向けた方策について考察」に着手する。 既に2・3年分のデータについては、年次推移について実施済みであるが、さらに長い期間での解析を実施する。 精神神経領域の解析知見を活かし、精神神経領域以外の分野についての解析についても積極的に実施し、発信する予定である。
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Causes of Carryover |
NDBデータ解析を進めるにあたり研究助手の人件費を計上していたが、今年度の研究計画で用いた解析は基礎的解析が多く、自らの解析により遂行できたことから、人件費の執行は次年度に計上し、さらなる解析を予定している。現時点で研究計画に支障はなく順調に進んでいる。
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