2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子曝露の継世代影響を予期する精子機能評価の構築と非侵襲的バイオマーカー探索
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19K19424
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
横田 理 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究官 (70706605)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分散ナノマテリアル / 毒性試験 / 吸入曝露 / 気管内投与 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノマテリアル(NM)曝露により生じる肺への健康影響については、吸入曝露やその代替法である気管内投与を用いた手法が多く報告されている。しかし、生理条件下でのNM曝露試験では、凝集体を形成した状態で曝露させている実験がほとんどである。すなわち、一次粒子径はナノサイズでも、投与時の二次粒子径は数時間以内にサブミクロンサイズへと凝集する。ナノサイズとサブミクロンサイズでは、表面特性が大きく変化するため、それらの体内動態や健康影響(毒性)は変化すると考えられる。 多くの論文や報告書には、二次粒子径が増加する前(溶液を調整直後)の分散データが公開されているものが多い。実際に動物へ投与するNMは少なくとも1時間は経過しているため凝集した状態で投与されていることが懸念される。しかし、その詳細なデータは公開されていない。今回、曝露試験を実施予定の酸化チタンNMもその一つで、私は生理条件下の溶液で調整すると必ず1時間もしないうちに凝集することをすでに確認している。毒性試験の情報は多岐にわたるが、文献調査と実験成果から、その多くは分散技術に問題があることが判明した。 本年度は、その問題点について対処するために、長時間高分散な状態を維持できる新たなNM調整法の基盤構築を目標として設定した。具体的には、酸性条件下での超音波処理とアルブミンとの反応過程を経て粗大粒子を除去する新技術を確立し、生理緩衝液中において24時間以上経過しても二次粒子径はナノサイズの状態で、驚いたことに、そのサイズは2nm以上の変動もなく非常に安定であった。NMのハンドリングの容易さからも、正確性が担保され、動物試験の再現性の観点からも優れた粒子調整方法を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
優れた手法を確立したものの、それに関する成果物(特許、学術論文)はないため。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに確立したNMを動物試験に適用する。これまでに私は妊娠期の暴露試験による世代影響を中心に行ってきた経緯から、それらの結果と比較するために、新たに調整した高分散NMを妊娠マウスに暴露させ、次世代影響(生殖毒性)を評価する。 必要であれば、メカニズムの改名としてex vivo試験も実施することを視野に入れている。
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Causes of Carryover |
動物購入が遅れてしまい、翌年度分に計上した。それ以外は、計画通りに進める。
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