2020 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子曝露の継世代影響を予期する精子機能評価の構築と非侵襲的バイオマーカー探索
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19K19424
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
横田 理 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究官 (70706605)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分散ナノマテリアル / 生殖発生毒性 / 精子機能評価 / 受精能 / Small non-coding RNA / マウス / 胎児期曝露 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの国内外における酸化チタンナノ粒子を用いた分散方法では、投与のために水分散から生理緩衝液に置換させると時間経過に伴い沈殿することを明らかにした。すなわち、論文で示されている高分散生は生理緩衝液に置換させた瞬間の結果であり、動物への投与は瞬時に終わるものではないため、その時間も考慮した分散安定性の担保が必要不可欠と考える。特に、曝露経路として想定されやすい気管内投与のような水分散では毒性試験が実施できない場合など、生理緩衝液への分散安定性を確立することが早急の課題として考えられたため、人が曝露しやすいと考えられる高分散状態での気管内投与を模倣した分散技術を確立した。具体的には、バイオコロナの観点から様々なタンパク質と反応させ、その中から両親媒性の分子とコロナを形成させると、生理緩衝液中でも長時間安定することを発見した。 本分散技術を用い、妊娠マウスに酸化チタンナノ粒子を気管内投与すると、曝露した母獣の肺でチタンの分布をICP-MSにより実施しその値を定量化し曝露量を明らかにした。同時並行で、精子の機能評価法と精子の核酸抽出法を開発した。実際には、精子は培養液中で受精能を獲得させる条件を検討し最適化させた。その評価法を用い、児では精子の運動性に影響が認められなかったものの、受精能獲得に影響が認めらるという新たなエンドポイントを見出した。現在、精子形態解析を実施し詳細な評価を検討しているところである。加えて、F1世代雄親由来のF2世代マウスを作出し、F1世代の精子機能と比較を行うための動物管理飼育も併せて行なっている。 一方、体細胞のコンタミの除去、サイズの大きいRNAの除去法などの条件検討を行い、界面活性剤などを用いたカクテル内で精子を静置させることでF1世代の精子small non-coding RNA発現解析を次世代シーケンスにより現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の予定通りに実験が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はF2世代の生殖毒性評価を実施する。また、精巣組織学解析を実施し、精子性状の悪化の原因をF1世代とF2世代の両方で明らかにする。 また、F1世代成熟精子のsmall non-coding RNA-seq解析を現在行っており、その結果よりF1精子由来の世代影響に関与し得る重要なバイオマーカーを探索したい。
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Causes of Carryover |
当該年度に次世代シーケンス解析を行うために、初年度経費からの繰越が発生した。
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