2021 Fiscal Year Annual Research Report
我国の健康課題の推移及び社会負担の推計-大規模データに基づくシミュレーション-
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19K19458
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 良行 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任研究員 (10811276)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 医療疫学 / 医療経済学 / 多併存疾患 / 医療システム / 疾病負担 / 循環器疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、全国規模の保険者が有する約50万人のレセプトデータ及び特定健診データと日本全国民のレセプトデータ及び特定健診データが利用可能なナショナルレセプトデータベース(以下:NDB)を用いて、我国の主要疾患の有病割合を明らかにし、今後の人口動態の変化に伴う疾病構造と医療費の推移を明らかにしようと試みる研究である。 初年度の実績としては、研究事項①「主要疾患の集計に用いるチャールソン併存疾患指(CCI;Charlson Comorbidity Index)のICD10コードに対応するレセプト電算コードの整理」については、達成した。 研究事項②の「全国土木の被保険者約50万人のデータを用いた横断的な主要疾患の有病割合、及び各疾患ごとの総医療費の集計」について、利用する保険者のレセプトデータの加工し、対象集団の抽出、平成26年度から30年度ごとの横断的な主要疾患の集計及び全国レベルへの推計を達成した。 結果から従来高齢者の併存疾患が注目されていたが、若年層の併存疾患の存在割合と、その疾病負担の影響について新たな知見が得られた。一般に、併存疾患は高齢者で問題とされているが、若年者であっても併存疾患があることは加齢の影響よりも同等以上に疾病負担へ影響していることが明らかになった。我が国においては併存疾患研究は多く行われておらず、今後の研究や介入・対策が求められる。結果は国際誌へ論文投稿済みで、現在査読対応中である。 また、研究を進める過程で、データベース上で疾病を特定するアルゴリズムの脆弱性と重要性が指摘されていることが明らかになった。本研究に関連して、循環器疾患(CVD)を対象に臨床医を交えた疾病特定アルゴリズムを開発し、データベース上で実装を行った結果を学会報告した。結果からICD10コードを用いた疾病特定方法による有病割合は既報値よりも多く報告される傾向があることが明らかになった。
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