2019 Fiscal Year Research-status Report
Experimental study of error tendency to medication and effect of finger-pointing and calling for nurses
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19K19547
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Research Institution | Shoin University |
Principal Investigator |
三戸部 純子 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 助教 (10836844)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬剤エラー / 異同判断課題 / 類似薬剤名 / 類似薬剤量 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤に関する患者情報のうち、薬剤名と量(数字と単位の組み合わせ)について、単独呈示した場合の類似性とエラー傾向を、異同課題を用いて検討した。 対象者は、課題そのものの妥当性を測るために、健常若年者とした。実験刺激は、5~6文字の薬剤名、数字4~5個と単位(例:g、㎎、ml)を組み合わせたものをターゲットとして、各144個設定した。ターゲットに対して同じ綴り(same)と、異なる綴り(difference)を参照刺激として半数ずつ(72個)作成し、さらにDifference刺激の半数は、構成する文字のうちの2文字を置き替え(transposition)をし、残りの半数は2文字を別の文字に入れ替え(substitution)をした。変更する位置は、2~5文字目のいずれかとした。実験課題は、参照刺激を300ms呈示した後、すぐにターゲット刺激を2000ms呈示するというものであった。参加者は、ターゲット刺激が呈示されている間に、参照刺激とターゲットが同じか否かを判断し、指定のキーを押した。分析はエラー率と反応時間について行った。 実験の結果、 difference条件では薬剤名の方が量よりエラーが多かったが、same条件では差はみられなかった。さらにdifference条件では、薬剤名と量の両方で、transposition条件の方がsubstitution条件よりもエラーが多かった。またdifference条件の方がsame条件よりもエラーが多かった。反応時間については、transposition条件の方が、substitutionよりも反応時間が長かった。 薬剤名と量の情報を単独呈示した場合、類似している薬剤名の方が、量よりもエラーしやすいことが明らかとなった。また、薬剤情報が異なると判断する方が同じと判断するよりも困難であることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
薬剤情報の単独呈示の影響について、条件を変えて実験を重ねる予定であった。しかし、最初の実験の設定に時間がかかり、実施時期が遅延したことにより、今回の実施にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方については以下を予定している。 1)薬剤情報の単独呈示において、薬剤情報特有の現象であるかを見るために、薬剤名の代わりにカタカナの無意味つづりと、量の代わりに単位を除いた数字のみの文字列で、健常成人を対象に実験を行う。 2)薬剤情報を組み合わせた場合のエラー傾向について検討する。さらに、エラー傾向と視線の関係について見るために、視線計測装置を用いて分析を行っていく。 3)上記2点について、看護師を対象に実験を行い、薬剤情報の親近性とエラー傾向について検討する。 4)薬剤情報の単独呈示、組み合わせ呈示について、指差呼称のエラー抑制効果を見る。
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Causes of Carryover |
学会参加と実験参加者の謝礼の支払いに充てる予定であった。しかし、学会参加は台風19号と新型コロナウイルスの影響で不可能となった。また、実験数も予定より減ってしまい、謝礼としての支出がなかった。 次年度分は、視線計測に必要な機材の追加購入と、論文投稿、学会参加、参加者への謝礼に使用する予定である。
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