2022 Fiscal Year Research-status Report
家族システム論からみた精神障害を持つ人のきょうだいである経験の実態と支援の検討
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19K19566
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
川添 美花 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 助教 (80758764)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 家族システム / 精神障害 / きょうだい / 経験 / ナラティヴ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,家族システム論からみた精神障害を持つ人(以下,同胞とする)のきょうだいの経験を明らかにすることである.精神疾患の発症好発期は,思春期・青年期であると言われている.同胞が精神疾患を発症することで,家族は家族内でのさまざまなバランスに影響を及ぼされることが考えられる.精神疾患や精神障害はまだまだ社会からの偏見も,当事者やその家族自身の偏見も強いため,精神疾患や精神障害に関して生じる問題は家庭内でとどまることも多く,互いに影響しあっている可能性がある.きょうだいは親亡き後に支援者として期待されやすいが,支援者として協力が得られないことで,社会的入院や長期入院につながっていることも多い.しかし,きょうだいが同胞との関係が破綻するにはきょうだいがこれまでの人生で経験してきたことに理由があるにちがいない.その経験はきょうだい自身だけに注目するのではなく,きょうだいと親,親と同胞,きょうだいと同胞といった家族内のさまざまな関係性が入り組んだ上で生じている可能性が高い.そこで,家族をシステムという視点からきょうだいの経験を明らかにすることで,よりきょうだいの経験が明確になると考える.精神障害を持つ人のきょうだいで,家族のことも含めた自らの経験を語ることができる人をリクルートするために,精神障害を持つ人のきょうだいを対象としたセルフヘルプグループの協力を得た.本研究はナラティヴ・インタビューできょうだいの経験を明らかにすることを目的としているため,研究者と研究参加者の相互作用が重要となってくる.精神障害のことだけでなく,親などの他の家族のことまで語ることは,研究参加者によっては,センシティブなものになる可能性も考慮し,セルフヘルプグループで過去に研究者の研究協力者になったことがある,研究者とすでに関係構築ができている人を本研究でも研究参加者としてリクルートを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究参加者のリクルートに難渋したため
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Strategy for Future Research Activity |
同意がとれた研究参加者に,今後インタビューを2回程度実施していく. 予定していた研究参加人数を下回っており,追加でリクルートを行う. データ分析,論文執筆を行う.
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Causes of Carryover |
研究の遅れが生じており,次年度研究期間の延長を行うこととなったため. 翌年度は,データ収集に伴う,謝金や会場使用料,データ分析・論文執筆に伴う,テープ起こしや専門家会議,翻訳代等で使用する予定.
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