2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性病者の無意識・無自覚的な経験の構造から看護介入モデルを検討する
Project/Area Number |
19K19573
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
戸沢 智也 獨協医科大学, 看護学部, 助教 (10822603)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 循環器病 / 現象学 / 身体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、急性冠症候群を発症させた患者が、禁煙を開始・継続する経験の成り立ちやその構造を記述することを目的としている。急性増悪期にある慢性疾患患者の意思決定やその行動の成り立ちが自明となることで、患者の治療選択を含めた健康行動支援への示唆を得ることを目指している。 昨年からの研究に参加している協力者1名(Aさん)に対して、2021年4月に参与観察及びインタビュー調査を行い、そこで得られたデータを現象学的手法を用いて分析を行った。 医療者に対して何度も言葉にすることを求められ、Aさんにとって語り慣れた発症時の出来事は、いわゆる『現病歴』として時計時間によって整理されていた。また、その時に経験した痛みは自明なものとして語られるものの、はっきりしない、何が起こっているのか判断できない身体に対して、「なんか」という言葉を多用しながらも、いつもとは異なる「おかしい」身体を先取りしながら、身体に起こった出来事について意味の創発が生じていた。この意味の創発を助けるもののひとつとして、心臓超音波検査の数値から心臓の状態をつかみとることによって、Aさんは自分の身体をつかもうとしていた。さらに、1年前から整えてきた身体が、疾患の発症によって一旦崩れる経験として自覚されていた。 本調査による結果は、途中経過として、第17回 日本循環器看護学会学術集会での発表を行った。複数のインタビュー結果を統合させることで、厚みを持った経験の記述を目指していく。また、研究協力施設と協力者の確保を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の影響で、研究協力施設への協力依頼及び対象者からの同意を得ることが困難な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の動向をみながら、研究協力施設の拡大を進めていく。また、すべての適格条件を満たさない対象者であっても、本研究の目的が達成できる対象者の確保を進めていく。 2021年度は、同一対象者への継続調査を行うとともに、1~2名から研究協力の同意を得て、調査を続けていく。
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Causes of Carryover |
昨年度に予算を執行する予定であったPCを、今年度購入したため、当初の計画との差異が生じた(2019年度にPCを購入する予定であったが、機械トラブルも少なく購入せずに研究が遂行できた。しかし、今年度の研究を遂行していくにあたりトラブルが生じたため、2020年度にPCを購入することとした)。
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Research Products
(1 results)