2022 Fiscal Year Research-status Report
慢性病者の無意識・無自覚的な経験の構造から看護介入モデルを検討する
Project/Area Number |
19K19573
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
戸沢 智也 獨協医科大学, 看護学部, 助教 (10822603)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 急性冠症候群 / 現象学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、急性冠症候群を発症させた患者が、禁煙を開始・継続する経験の成り立ちやその構造を記述することを目的としている。急性増悪期にある慢性疾患患者の意思決定やその行動の成り立ちが自明となることで、患者の治療選択を含めた健康行動支援への示唆を得ることを目指している。 これまで研究に参加している協力者2名に対して、2018年10月~2021年12月(合計16回)の参与観察及びインタビュー調査を行い、そこで得られたデータを現象学的手法を用いて分析を行っている。 本調査による結果は、途中経過として、第17回 日本循環器看護学会学術集会、第18回 日本循環器看護学会学術集会、第19回 日本循環器看護学会で発表を行った。複数のインタビュー結果を統合させることで、厚みを持った経験の記述を目指していく。 <研究実績の一部を以下に挙げる> 不安定狭心症で冠動脈パイパス術を行ったAさん(30歳代の男性)は、術後2日目に立位になろうとしていた。Aさんは視線を落とした前傾姿勢のままであったが、「伸ばしたい」が伸ばせない背中に手をあてられ、背中に感覚を得ることで、立位時には足に感じる地の感覚を確かめていた。また、隣の病室から「おんなじバイパス」をした人の声が聞こえ、前日まで居たICUで聞く「痛い声」とは異なるものとして聞こえ、その人が誰かとの話す会話を聞きながら、自身の痛みを味わっていた。「ちょっと先」を経験している人の会話や、その人が歩く姿を目で追うことで、「頑張れば、あそこまでは全然いけるんだ」と、自己の身体の見通す経験をしていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染症の影響を受け、データ収集に時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在はデータ整理(逐語録の作成・書き直し)及び分析(現象学系の研究会での意見交換やその準備)途中であり、次年度は論文投稿を目指している。
|
Causes of Carryover |
2022年度は論文作成ができなかったため、次年度使用が生じた。 2023年度には、分析に要する資料・資材の準備、分析会への参加に関する旅費、投稿及び英文校正に要する費用などに使用する。
|
Research Products
(1 results)