2022 Fiscal Year Research-status Report
生後早期における父子の関係性構築支援を目的とした介入効果の検証
Project/Area Number |
19K19668
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
矢郷 哲志 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (00778243)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 父親 / 関係性支援 / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2006年にNewborn Behavioral Observations (NBO) systemが開発されて以降、過去17年間に発行されたNBOに関連した国内外の論文の知見を網羅的にレビューし、リサーチギャップを特定した上で、今後のNBOの研究及び臨床活用への示唆を得ることを目的として2021年度から継続して実施しているスコーピングレビューについて、これまで2022年1月までとしていた論文検索対象期間を2022年9月まで拡大し、新たに論文検索及び分析を行った。 分析の結果、新たに7件の論文が追加され、29件の論文が分析対象となった。PAGER frameworkを用いて知見の整理を行い、(1) usage pattern of NBO、(2) participants, setting, duration, and frequency of the NBO intervention, (3) outcome measures and effects of the NBO intervention, (4) findings from a qualitative perspectiveの4つのテーマが生成された。対象論文29件には、介入研究18件が含まれ、介入効果を測定するアウトカムとして、親のメンタルヘルス、親子の関係性、乳児の発達、NBO介入を実践する臨床家の知識及び自信などが用いられていた。介入効果として、NBOによる介入は、親の抑うつ及び不安を軽減し、母親の感受性を高め、介入を行う臨床家の自信及び知識を深めることが示された。リサーチギャップとして、NBO介入の中長期的な効果を測定する縦断研究、父親に対する介入効果の検討、初産婦と経産婦など親の特性に関連した介入効果の比較などの知見の不足が明らかとなり、将来的な研究活動の方向性を明確に示すことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は免疫機能の脆弱な出生直後の親子に対面し、近距離で接触し、直接的に介入することを必要とする。新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を鑑みながら研究遂行を試みたが、収束の見通しが立たない中で、感染症予防の観点や対象となる親子の不安など研究倫理的観点からも本来の介入研究の遂行が困難であった。2023年度以降も、新型コロナウイルス感染症に対する懸念は持続することが推測されるため、2023年度は当初の研究計画を変更し、生後早期の父子の関係性支援に向けた基礎的資料の収集を行っていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年5月より新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し感染法上の位置づけが変更したことにより、研究対象となる親子の新型感染症に対する不安は低減することが期待されるが、依然として研究参加に伴う親の不安は大きいと考えられ、介入研究の実施及び期待するサンプル数の収集は困難であると考えられる。そこで、過去17年間のNBO関連の国内外文献を対象としたスコーピングレビューを2022年度に実施し、その結果を現在、国際雑誌に投稿し査読中であり、論文が2023年度内に採用となるよう迅速に対応していく。また、生後早期の父子の関係性支援の基礎資料となるデータを収集するため、生後早期から1年までの父親の養育行動及びメンタルヘルスの実態とその関連要因に着目し、質問紙を用いた横断研究を実施することで、研究成果を得ることを企図している。
|
Causes of Carryover |
本研究プロジェクトは、特に厳重な感染予防対策が求められる出生直後の親子に直接対面・接触し介入することが求められるため、今年度も新型コロナウイルス感染症の感染拡大が継続したことが影響し、計画通りに介入研究を遂行することが困難であったために、次年度使用額が生じることとなった。2023年度は、現在、国際雑誌に投稿中であるスコーピングレビューに関する論文の年度内の公表に向けて査読対応を進めるとともに、生後早期の父子の関係性支援に関する基礎的資料の収集に研究プロジェクトを軌道修正し、生後早期から1歳までの子どもを持つ父親の養育行動及びメンタルヘルスの実態とその関連要因を探索する横断研究を実施する予定である。
|