2021 Fiscal Year Research-status Report
退院後の小児がん患児をもつ両親のレジリエンスの概念構築
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19K19679
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
辻本 健 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (10825285)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 前向き / 普通の生活 / 一緒に頑張る / 安心感 / 親 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、退院後の小児がん患児をもつ両親のレジリエンスの現状・レジリエンスを高める要因を定量的に測定し、レジリエンスを高めることにつながった体験を質的に分析して、混合研究法によって退院後の小児がん患児をもつ両親のレジリエンスの概念構築を目的としている。2021年度は、下記の通り、研究を行った。
1.質問紙の配布・回収 血液専門医がいる小児を専門とする病院の中で、日本小児がん研究グループの治療を実施している病院2施設の、退院移行期の1年以上を経過し、外来を受診している小児がん患児(0~14歳)の両親を対象に無記名自記式質問紙調査を行った。調査用紙は、研究対象施設2施設で100部配布した。回収数39部(39%)、有効回答率100%であった。新型コロナウイルスの影響もあり、思うような回収率が得られていない状況であったため、新たな研究対象施設を検討し、質問紙調査の回収数の増加を見込んでいる。 2.質問紙調査の分析 質問紙の内容は、個人属性(10項目)、ソーシャルサポート(12項目)、SOC(13項目)、レジリエンス(25項目)、PTSD(22項目)、レジリエンスの体験(自由記述項目:3項目)、計85項目である。量的データと質的データを分析し、結果の統合をしている。質的データは、レジリエンスの体験の時期、具体的な出来事について自由記述による回答を求め、計量的テキスト分析ソフト「KH Coder」(ver.3)を用いて分析した。その結果、退院後の小児がん患児をもつ両親は、病気になっても前向きな子どもの姿を見ることや家族と一緒に頑張ることで前向きな気持ちになっていた。また、退院後は同じ境遇の親と話をすること等で少しずつ普通の生活に戻り、前向きになり安心感につながっていたことが明らかになった。質的データの結果は、2022年6月の日本小児保健協会学術集会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、質問紙の分析、学会発表、論文投稿の計画であった。2019、2020年度に行った概念分析と予備調査から質問紙の作成を行い、質問紙の配布・回収と分析を行ったためやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は質問紙の分析、学会発表、論文投稿を行っていく予定である。これらに加えて、質問紙の回収数を上げるため、新たな研究対象施設への質問紙配布を検討し、小児がん患児をもつ親のレジリエンスの概念構築を行っていく。
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Causes of Carryover |
2021年度は、質問紙の分析、学会発表、論文投稿の計画であったが、到達状況としては、予定の回収数までに至っていない。次年度使用額が生じた理由は、研究が遅れたことにより質問紙の作成・配布に関わる物品購入や質問紙の印刷ができなかったためである。また、研究結果公表のため学会発表、論文投稿を予定していたが実行できていない。今後の使用計画は印刷費、郵送費、分析ソフトの購入、研究参加者への謝礼品購入、学会発表のための旅費、論文投稿費、として使用する予定である。
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