2019 Fiscal Year Research-status Report
精神科デイケアにおけるリカバリー支援心理教育プログラムの標準的実施の可能性
Project/Area Number |
19K19741
|
Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
杉本 圭以子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (10739577)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 精神科デイケア / パーソナルリカバリー / リカバリー支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに実施した精神科デイケアでのリカバリー支援心理教育プログラム(IMR)前後の、リカバリーゴールとそれに対する行動を自由記述したデータを整理し、パーソナルリカバリーがどのように促進されたか検討した。記述されたリカバリーゴールは「何かを得ること」から「どのようにいたい」に変化し、実現するための行動は、他者とのかかわりや就労、楽しみを作るなど多様になり、活動の場が広がっていた。IMRプログラムの構造により参加者同士のピアサポートの力が活用され、セルフスティグマを低減し、リカバリーを促進する可能性が推察された。この結果は、日本精神障害者リハビリテーション学会誌「精神障害とリハビリテーション」に受理され、2020年6月発行の学会誌に掲載が決まっている。 2019年度は、精神科デイケアのIMRを受講終了後半年以上が経過した9名に面接調査を行い、IMR参加前とIMR終了後半年以上経過した現在のリカバリーゴールとそれに対する行動がどのように変化したかを整理し、IMRによるパーソナルリカバリーへの長期的な効果とIMRのどのような要因がそれに影響しているかを分析した。 また、県内で新たにIMRの実施を開始した精神科クリニックデイケアへの支援を行うとともに、これまで実施を継続している2か所の精神科病院デイケアへの支援を継続し、IMR前後における生活満足度尺度、リカバリー志向尺度の質問紙調査によるデータ収集を継続した。これまで継続して収集したデータを分析できるよう、データを整理した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、もう一か所精神科病院デイケアでのリカバリー支援心理教育プログラム(IMR)開始をめざしたが、当該病院のデイケア利用者は高齢者が多く実施しないとの回答を得た。しかし、別の精神科クリニックデイケアでIMRを開始することができ、新たな研究フィールドを開拓できた。予定していたデータ収集人数には満たないが、継続して調査ができている。デイケアではないが、就労継続支援B型事業所の生活訓練事業として新たにIMRの開始を希望した事業所に対して開始に向けた支援を行い、2019年度に開始することができた。また、計画通りにこれまでに得たデータを論文化できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
長期的効果を分析した調査結果は、学術誌に投稿できるように準備を進めている。 2020年に実施する調査として、リカバリーが促進した人としなかった人のプロセスとその要因について、IMRを実施したスタッフへの面接調査を計画しているが、新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、面接調査が実施可能かどうか、今後の状況次第である。また、県内で実施している3か所の精神科デイケアには支援を継続するとともに、データ収集を継続する。
|
Causes of Carryover |
当初面接調査を録音しデータ処理することを計画していたが、当事者への面接は録音をしないほうが緊張感なく調査できると考えたため、録音はせず記録にとどめた。そのためデータ処理代は発生しなかった。また、デイケアでの活動の一環として面接させていただいたため謝礼は発生しなかった。残額は、県内で新たに施設でIMRの開始を勧めるための準備費用(IMRテキスト、参考書籍、DVD、打ち合わせのための交通費など)に充てる計画である。
|
Research Products
(2 results)