2019 Fiscal Year Research-status Report
Basic survey on child-rearing couples for parenting support considering father's child abuse prevention
Project/Area Number |
19K19774
|
Research Institution | Japan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
高木 悦子 日本保健医療大学, 保健医療学部看護学科, 准教授 (20587761)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 地域母子保健 / 乳幼児・児童虐待 / 育児支援 / 父親育児参加 / 横断調査 / 量的・質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
厚生労働省による平成28年度福祉行政例の概況によれば児童虐待の相談種別対応件数はの年次推移は、約120万件と増加の一途を辿っている。平成24年度から平成28年度までの4年間で、実母は10%下がったにも関わらず、実父は10%上昇している。本研究の目的は、乳幼児育児中の父母の虐待リスクとそれにかかわる要因を明らかにし、児童虐待予防のポピュレーションアプローチとして有効な、父親を含めた育児支援への示唆を得ることである。その中で、インタビュー調査における問は「乳幼児育児期の父親と母親は、どのような状況下で、どのようなプロセスを経て子どもに対する否定的な感情を持ってしまうのか。」である。 以下のプロセスで調査の実施を計画した。 ①先行研究、書籍、インターネット、専門家の指導をもとに質問紙の作成 ②対象者:出産後の夫婦、保育園に子どもを預けている夫婦に対し、質問紙調査を実施する。インタビュー調査に同意を得た対象者に対し、後日犯行増加面接を実施する。 次年度以降、量的データ、質的データ、それぞれのデータ分析を行った後、二つのデータを合わせて混合研究法として解釈を深める。先行研究より、子どもに対する親の気持ちには、親の個人的な問題、夫婦の人間関係、子どもの育てやすさ、仕事の量、心理的・手段的サポートなど様々な要因が影響を及ぼす。本研究では、影響要因の因果関係やプロセスを明らかにすることで、これまで検討されることの少なかった虐待に関連する状況を抽出し、さらに量的データのみでは測りきれない個別のケースをインタビュー調査によって説明を加えるために上記の研究方法により、データ収集を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成31年度に入り、文献検討を実施した。乳幼児・児童虐待と、父親の育児参加については、すでに多くの知見があるアメリカの書籍を購入し、理解を深めた。さらに現在の日本の育児期世帯の問題を把握するために、インターネット検索や単行本購入により理解を深め、質問紙とインタビューガイドの作成をはじめた。 研究協力者であるMilton Kotelchuck氏より質問紙作成についてアドバイスを受け、CDC(The Center for Disease Control and Prevention)で実施されている調査の質問項目を参考にすることができた。日本で用いられている尺度を用いて質問票を作成し、Kotelchuk氏から修正を受け、作成した。これをもとに当大学倫理委員会の審査を受け、承認を得、質問紙1000部(父母それぞれ500部)、封筒500部の印刷を終了し、一部の施設に配布を依頼して、すでに回答の返信を受け取っている。 インタビュー調査協力についても、返信を受けているが、コロナウイルス感染拡大防止のための、緊急事態宣言下にあることから、調査の実施には至っていない。また、保育園への調査は、質問紙も含めて調査が実施できない状態である。 以上より、昨年度予定していた作業については順調に進行し、質問紙印刷については、むしろ早い時期に終了していたが、その後の調査の実施が滞っていが、昨年度に限り、順調に進展している、と判断した。 さらに、関連する父親のデータ分析結果の海外学会発表(APHA:American Public Health Association Anual meeting & expo.於サンフランシスコ)にエントリーした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、本来ならば前期はデータ収集、後期はデータ分析の予定であった。しかし、コロナウイルス感染拡大防止のため、調査を進めることができないと思われる。すでにインタビュー調査の協力希望をもらっている方々には、緊急事態宣言解除後に連絡をとり、完全な感染防止の状況で、データ収集の方法や保管方法について対象者から了承を得たうえで、順次実施していく予定である。さらに、保育園への質問紙調査は保育園が、園児を通常どおりの受け入れをはじめ、軌道に乗るころに依頼を行い、園に負担をかけない時期を検討して調査を実施する予定である。少なくとも今年の秋以降になる可能性が高く、状況によっては、ワクチンや治療薬の使用が行き渡る今年度末、または次年度に持ち越す可能性も考えられる。 現在集まっているデータについては、今年度購入予定のSPSSを用いて暫定的な解析を実施する予定である。インタビュー調査については音声データを逐語的に分析し、さらにテキストマイニングを用いて分析を行い、学会発表で用いるデータにする。 昨年度末投稿したAPHAの学会発表について、採択が決定したらポスター作製に取りかかる。アメリカはコロナ感染者数が多かったため、10月末い予定されている学会については開催の形態が決定していない。採択された場合には、学会の提示する学会運営に従って、発表を行うか、日本の状況を鑑み、海外渡航が困難な場合は、その旨学会に報告し指定された形式での発表を行う。
|
Causes of Carryover |
計画は概ね順調に経過しており、2019年度分の助成金は全て使用した。 今年度はインタビュー調査対象者への謝礼、データの逐語録作成業者への依頼、調査施設への交通費、関連するデータの海外学会抄録作成、学会発表の交通費、量的データ解析ソフト(SPSS,Amos)を購入する予定である。 その後も、今回収集するデータの学会発表および論文作成に使用する予定である。 さらにそれらに必要な文献や消耗品の購入に用いる。
|