2020 Fiscal Year Research-status Report
Basic survey on child-rearing couples for parenting support considering father's child abuse prevention
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19K19774
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
高木 悦子 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (20587761)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 育児 / 両親 / 乳幼児虐待 / 健康関連QOL / CES-D / 父親育児参加 / 横断調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本来は質問紙を用いて2020年3-5月実施の予定であったが、新型コロナ感染拡大防止のための、休校や保育園の休園、調査予定地であった東京都及び近郊県における緊急事態宣言下で調査を実施することができなかった。そのため、2020年7月15日から7月18日に日本全国の未就学児育児中男女合わせて300名に対しwebによる調査を実施した。 結果:男性106名、女性194名、平均年齢37.0歳(SD4.8)、うち複数の子を持つものが107名(33.3%)、CES-Dスコア平均は男性:女性(14.4 SD7.9:13.8SD7.9 n.s)であり、男性のほうがややスコアが高めであった。CES-D合計点、事故効力感合計点、身体的虐待、心理的虐待、ネグレクトに関わる項目はそれぞれの項目で有意な相関(r=118からr=951)が認められ、育児のストレスと子どもへのネガティブな感情は虐待的行動と有意に関連しており(r=-.123-から-.483)男女による差はほとんどなかった。 考察:本調査はCOVID19によって全国的な外出制限が始まって約4か月が経過し、在宅ワークが増え未就学児の自宅での生活が続いた時期であり、抑うつ状態にある男女が日本の平均を大きく上回っていた。育児中のストレスと子どもへの否定的な感情に男女の差はなく、男女ともに抑うつ的、子どもや育児行為への否定的な感情が強いと、虐待的行動は身体的、心理的、ネグレクトのすべてが複合的に行われる可能性があることが示された。虐待予防事業は、男性の心身の健康にも留意し夫婦の育児負担軽減を目的とする必要があることが示唆された。 上記の分析結果について、今秋予定されているAPHA(American Public Health Association)にProgram area: Maternal and Child Health : Abstract ID: 489066 Abstract title: Identifying factors associated with abusive behaviors of men and women during rearing of young children として投稿を済ませている。採択については7月に決定される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、昨年度前半に質問紙調査とインタビュー調査の実施であったが、新型コロナ感染症の感染拡大によって、計画を変更せざるを得なかった。対象者が保育園に子どもを預けている、未就学児育児中の男女の保護者であるため、調査開始予定の3ー5月は、東京都及び近郊県では、緊急事態宣言中であり、計画通りの保育園への訪問、および質問紙の封書を手渡すことができなかった。 そのため、新型コロナ感染症の感染者数が減少し、調査対象者への少なくなったと考えられる時期に、当初の計画の一部を変更し、WEBによる質問し調査を実施した。調査会社を用いて未就学児育児中の男女300名に対する横断調査を実施した。 大まかな結果の分析は実施しているが、抑うつ状態にある対象者の割合が非常に高い傾向にあることが明らかになっており、その結果については今秋開催予定のAPHA(American Public Health Association Program area: Maternal and Child Health : Abstract ID: 489066 : Identifying factors associated with abusive behaviors of men and women during rearing of young children")に投稿済みであり、7月1日ごろ採択の可否が決定される予定である。 インタビュー調査による質的データの収集は、今年度実施し、量的データと合わせて分析し、今後国内外で発表の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、量的データの収集を実施し、一部結果の分析を済ませ、学会発表にエントリーすることができた。今年度は、インタビュー調査による質的データ収集を実施する予定である。本来は量的データ対象者の中からインタビュー調査の対象者を選定し、混合研究法としての結果の解釈を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止の必要性から、計画の遂行への影響を最小限にするためには、調査対象者との接触、およびそれに伴ってデータ収集方法の変更が必須であった。保育園の休園、またそれらの対応による保育現場の負担が大きかったからである。量的データの収集は完全に匿名であったために、個人的に連絡することができなかったため、質問紙に回答していない男女への質的調査となる。 昨年度収集したデータは、コロナウイルス感染拡大防止による学校等休校、緊急事態宣言による長期の外出制限が実施されたのちの時期であり、CES-Dスコアによる抑うつ症状の自覚が多い傾向にあった。外出制限、家族との生活時間の著しい延長や感染への不安、また、両親の仕事の変化などから精神的健康度の低下が懸念されていたが、そうした特別な時期に収集したデータとして、早急に国内にその結果を公表する必要がある。そのため、今年度はデータ分析と学会発表や論文作成を中心に作業を進める予定である。 質的データ収集については、感染拡大やワクチン接種の状況を合わせ、対象者に負担の少ない方法を選択して実施する予定である。インタビューは、育児のストレスや子供への否定的な感情も問う内容になるため、倫理的配慮から、インフォーマント本人の協力への意思を最優先にリクルートする予定である。継続的比較が困難で理論的サンプリングおよび理論的飽和が困難であることから、10名程度の調査協力希望者に対して実施し、分析予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度収集したデータの分析及び学会発表、論文作成を実施する予定である。
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