2021 Fiscal Year Research-status Report
Basic survey on child-rearing couples for parenting support considering father's child abuse prevention
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19K19774
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
高木 悦子 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (20587761)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳幼児虐待 / 父親 / 母親 / 育児負担 / 育児支援 / 横断調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
<背景と目的>日本における未就学児育児中男女の虐待的行動に関連する要因の検討 日本での乳幼児・児童虐待報告数は増加の一途をたどっている。2000年に制定された児童虐待防止法の制定以降、主に母親への育児支援を通して虐待防止施策を講じてきたが、近年では父親による虐待事例報告が増加している。父親に対する支援はほとんど実施されてこなかった。そこで本研究では、未就学児育児中男女に対し、虐待的行動に関連する要因を明らかにすることを目的として実施した。 <対象と方法> 2020年7月に、未就学児を育児中の日本全国の男女300名を対象に、webによる意識調査を実施した。 <結果>父親109名、母親194名有効回答が得られた。平均年齢37.0(SD4.8)歳であった。このうち第1子の親は66.6%であった。CES-Dスコア平均は男性が14.4(SD7.9)、女性が13.8(SD7.9)であった。「いらいらしてたたく。」「いらいらして大声で叱る。」「いらいらして無視する。」の三つの虐待的行動は互いに高い相関関係にあり(r=.565, r=.571)、身体的・精神的虐待、およびネグレクトに至る可能性のある行動は、複合的に行われていると考えられる。二項回帰分析では仕事時間が長いほど、子ども人数が多いほど、母親に育児の責任があると考えるほど、家事は夫婦で分担するべきと考えるほど、虐待的行動に至っていることが明らかとなった。 <考察>仕事と子ども人数が多いという労働量が多いこと、母親が育児の責任を担う、父親が家事を手伝うという育児・家事の遂行に忠実で育児を頑張ろうとする親ほど虐待的行動をする傾向にあることが明らかになった。育児支援は父母双方に必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査はすでに終了して分析を行い、国内外の学会発表は終了している。今年度、さらに一部のデータのみを使用して海外での学会発表を予定し、エントリーを済ませている。今年度は国内外に向けた論文執筆と、海外での学会発表を行うことで成果発表を行うことができ、予定通りに作業が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年発表したデータを論文化し、公表する。全データを用いた調査結果については、昨年の口頭発表による意見交換をもとに、更なる分析の結果を加えて、論文化し、投稿する予定である。本調査において、特に父親の虐待的行動に関するデータも得られた。先行研究ではほとんど研究されてこなかったため、今年度の学会発表の採択の結果の確認をしたのち(学会発表前の論文としての出版が、倫理に反するため)学術誌に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大によって学会参加がオンラインとなり、当初の予算よりも使用額が大幅な減額となった。
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