2019 Fiscal Year Research-status Report
多様な文化的背景を有する中高年者の生活習慣病の重症化に関連する要因
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19K19776
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
呉 珠響 東京医科大学, 医学部, 准教授 (80511401)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中高年者 / 生活習慣病重症化予防 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は「多文化共生社会」を迎え、多様な出自や文化的習慣を有する人々の増加とともに、一般の日本人とは異なる集団に属する人々の高齢化がすすんでいる。このことから、多様な出自や文化的習慣を有する中高年者の生活習慣病重症化に関連する要因を明らかにし、具体策が提示されることが今後さらに必要となる。2019年度は文献検討およびフィールドワークにて、多様な出自や文化的習慣を有する人々の生活習慣の実際やその特徴について整理することを試みた。文献検討では、PubMedを用いて(key words: attitude to health, ethnic race, & cultural factors)32件の該当文献を選出し、人口的、あるいは社会的側面から多数派に属さない中高年者の健康に影響を及ぼす文化的要因について整理した。文献検討では、羞恥心や運命論、家族関係の在り方、また社会的差別や医療や医療職への不信感、文化変容の段階等が、がん検診受診や終末期の在り方、日常的な健康習慣に関連していることが多数報告されていた。これらのことから、文化的要因は、健康的な生活を送るうえで障壁となる要因としてとらえられる傾向にあることが整理されたが、健康行動や生活習慣に肯定的に働くことについての報告は見当たらなかった。また、定住コリアンの中高年者が集住する地域にてフィールドワークを複数回実施した。フィールドワークでは、集住地域に暮らす定住コリアンの居住環境やその地域で暮らすことになったこれまでの経緯等について把握するとともに、多分野の研究者とも情報共有して整理した。 2020年度は、異なる出自、あるいは文化を有する複数の中高年者および関係者(保健医療福祉職、ボランティア等)を対象にインタビュー調査を実施し、健康に関わる生活習慣の実際を整理し、質問紙調査に向けた項目の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、文献検討とフィールドワークを主として行い、質問紙調査の項目選定作業を行ったが、インタビュー調査の実施までに至らなかった。次年度は、今年度に文献検討およびフィールドワークにて得られた情報をふまえてインタビュー調査を実施し、質問紙の項目を整理する。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度に実施し文献検討、フィールドワークで得られた情報をもとに、インタビュー調査を実施する。また、これまでの研究成果を学会にて発表する。
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Causes of Carryover |
2020年度は、2019年度に実施に至らなかったインタビュー調査を2019年に計上した予算内にて実施する。
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Research Products
(1 results)