2020 Fiscal Year Research-status Report
多様な文化的背景を有する中高年者の生活習慣病の重症化に関連する要因
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19K19776
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
呉 珠響 東京医科大学, 医学部, 准教授 (80511401)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中高年者 / 生活習慣病重症化予防 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本では多様な出自や文化的習慣を有する人々が増加し、日本人とは異なる集団に属する人々の高齢化がすすんでいる。特に中国帰国者や定住コリアンコミュニティの高齢化は顕著であり、今度はフィリピンや中国、ブラジルをルーツとする人々もこれに続くことが予測される。これらのことから、多様な出自や文化的習慣を有する中高年者の生活習慣病重症化に関連する要因を明らかにし、具体策が提示されることが今後さらに必要となる。 2020年度は、多文化主義を前提とした政策を行っている複数の国にて行われている保健・医療・福祉政策の実際について、特に高齢者を対象とした政策を中心に文献検討にて整理することを試みた。文献検討では各国の政府機関のホームページ、関連書籍、またPubMedを用いて該当文献を選出した。比較検討する国は、移民統合政策指数(Migrant Integration Policy Index, MIPEX)の2020年の報告を参考に、スウェーデン、カナダ、オーストラリアの3か国とした。MIPEXは移民統合に関する国際比較を行う調査であり、具体的には、現在加盟している52か国の移民統合政策を対象に、8つの政策分野(労働市場、家族呼び寄せ、教育、政治参加、永住、国籍取得、反差別、保健)について、167の政策指標を設け、数値化している。文献検討では、各国の多文化主義政策の実態(これまでの変遷と現在の政策)、高齢者を対象とした保健・医療・福祉政策の実態から移民に対する政策の実際を整理した。 2021年度は、多様な文化的背景を有する複数の中高年者および関係者(保健医療福祉職、ボランティア等)を対象にインタビュー調査を実施し、健康に関わる生活習慣の実際を整理し、質問紙調査に向けた項目の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
中高年層の中国帰国者および定住コリアン、また関係者を対象にインタビュー調査を実施予定であったが、COVID-19の流行に伴い研究対象者と接触することが困難であった。オンラインでのインタビュー等も検討するも、研究対象者がインターネットを活用する、あるいは支援者の協力を得ることも現実的には困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の状況が改善されるまでは、当初予定していた調査の開始が困難な状況にある。研究協力者にも相談しながら、研究開始の時期や方法を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度の研究費の使用計画として、より効率的に研究を実施するため、インタビュー調査のテープ起こし等については委託することとし、研究に係る費用として計上予定である。
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