2019 Fiscal Year Research-status Report
対麻痺者用ロボットを用いた安全な坂道歩行獲得に関する研究
Project/Area Number |
19K19810
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
小山 総市朗 藤田医科大学, 保健衛生学部, 講師 (90754705)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 歩行 / ロボット / 脊髄損傷 / 坂道 / 転倒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,対麻痺者を対象とした装着型歩行支援ロボットWearable Power Assist Locomotor (WPAL)の坂道歩行における適切な歩行器操作時期を明らかにすることである.今年度はミニチュアワイヤ式変位計を用いて,坂道歩行時における歩行器と歩行者との距離を経時的に計測するシステムを構築した.計測システム原案は,歩行器前方のパイプにミニチュアワイヤ式変位計を設置する予定であったものの,最適な設置高や歩行者と歩行器との傾斜差の検討必要性が明らかとなり設置位置変更可能な脱着器具も作成した. 今年度は,構築した距離計測システムの実現性検証を行った.WPAL歩行に熟達した健常者1名に対して,坂道歩行の登りと下りを行わせた.ミニチュアワイヤ式変位計の設置高は,WPALの股関節軸高とした.計測路は,平地3m,坂道4m,平地1.5mとした.坂道の傾斜勾配は10%とした.距離データは,平地(歩行器と歩行者ともに平地),登り始め(歩行器が坂道に入り歩行者は平地),登り(歩行器と歩行者ともに坂道),登り終り(歩行器が平地に入り歩行者は坂道),下り初め(歩行器が坂道に入り歩行者は平地),下り(歩行器と歩行者ともに坂道),下り終り(歩行器が平地に入り歩行者は坂道)に分けて解析した.結果,歩行者と歩行器との距離は平地18.5cm,登り始め22.6cm,登り22.3cm,登り終り22.3cm,下り初め15.2cm,下り11.1cm,下り終り15.7cmであった.登りは,歩行者と歩行器との距離が離れ,逆に下りでは距離が近づいた.この結果は,動作観察結果と一致しておりシステムの実現性が確認できた.次年度からは,対象者を増やして検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,対麻痺者の装着型歩行支援ロボットWearable Power Assist Locomotor (WPAL)を使用した坂道歩行における適切な歩行器操作時期を明らかにすることである.そのため,まずWPAL歩行時の坂道歩行における歩行者と歩行器との距離を計測するシステムを構築する.次に,定常坂道歩行時の時系列データ解析による,適切な歩行器の前方移動時期を解明する.最後に,転倒につながる姿勢変化を模擬的に再現して,継時的な歩行器と歩行者との距離変化から坂道歩行における練習課題を明確化する. 今年度の研究実施計画に従って,予定通り完了した.具体的には,歩行器へのミニチュアワイヤ式変位計の設置位置変更可能な脱着器具を作成し,ミニチュアワイヤ式変位計とPCを有線にてアナログデジタル変換器を介して接続して,PCでデータ集録するシステムを構築することが出来た.構築したWPAL坂道歩行における歩行者と歩行器との距離計測システムは,WPAL補助歩行に熟達した健常者において,定常坂道歩行時の動作観察と同様の現象が客観的に測定出来た.このシステムを用いることによって来年度に予定していた定常坂道歩行時の時系列データ解析による,適切な歩行器の前方移動時期の解明の実施が可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究において,WPAL補助歩行時の坂道歩行における歩行者と歩行器の距離を計測するシステムが構築できた.そのため当初の計画通り,来年度は定常坂道歩行時の時系列データ解析による,適切な歩行器の前方移動時期の解明を実施する.全ての実験は倫理審査委員会で承認された手順に則って実施する.実験前,対象者はWPALを用いた坂道歩行を十分習熟するまで練習を行う.練習には医療従事者が付き添い安全に実施する.その後,定常的な坂道歩行を行い,歩行者と歩行器の距離を計測する.距離データは,平地(歩行器と歩行者ともに平地),登り始め(歩行器が坂道に入り歩行者は平地),登り(歩行器と歩行者ともに坂道),登り終り(歩行器が平地に入り歩行者は坂道),下り初め(歩行器が坂道に入り歩行者は平地),下り(歩行器と歩行者ともに坂道),下り終り(歩行器が平地に入り歩行者は坂道)に分けて解析を行う.さらに,WPALが自律して生成する他動的な下肢動作(歩行様の下肢交互運動)との関係も検討するため,WPALの下肢交互運動から歩行周期も同期して取得するシステムも構築する.この計測結果からWPAL補助歩行時の坂道歩行において,歩行周期のどの時期に歩行器を前方に移動させるのか,歩行器と歩行者との距離は登りと下りで異なるのか,坂道歩行時に歩行器を前方へ移動させるのに適切な時期はいつか,について検討を行う. 主な購入物品は,解析用PCなどを予定している.研究計画の申請時には,センサ固定用器具を計上していたが,センサの設置位置を検討する必要が出てきたため前倒しで研究を進めた.研究の進捗に伴って,さらなる改良が必要となった際に購入を検討する.また,研究対象者の安全を最大限配慮し転倒予防ベルトの購入も検討する.
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