2019 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷の再生医療における自発的運動介入の効果に関する研究
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19K19814
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
塚越 千尋 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (20782478)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄損傷モデル動物 / 不完全損傷 / 挫滅損傷 / 圧センサ付きピンセット |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、再生医療による難治性疾患の治療研究が進んでおり、脊髄損傷においても細胞治療の応用が進められている。脊髄損傷モデル動物への細胞治療は神経再生に有効とされるが、細胞移植等により脊髄組織が得た再生および自己修復機能を後押しする役割として、リハビリテーションを組み合わせた機能再建が注目されている。そこれ、再生医療との併用療法としてより効果的なリハビリテーション手法の開発をめざし、脊髄損傷モデルラットに、従来の強制歩行から遊具の豊富な環境での自発歩行を促すものまで、様々な運動介入を行い、より有効な運動介入方法を探索することにした。 脊髄損傷モデル動物の作製において、脊髄離断による完全損傷モデルや、インパクターを用いた挫滅損傷モデルが報告されているが、本研究においては、より臨床の脊髄損傷に近いと考えられるピンセットで脊髄に一定時間の圧迫を加え、不完全損傷モデルを作製する方法を採っている。我が国は超高齢者社会に直面しており、交通事故や転倒によるわずかな衝撃により脊髄損傷を引き起こす割合が、若年者よりも高いということからである。所属する研究施設で作製されてきた脊髄損傷モデル動物は、インパクターを用いた挫滅損傷か脊髄を離断するモデルである為、昨年度までは、インパクターを用いた方法にて、不完全損傷モデル動物作製のトレーニングを積んだ。また、昨年度に業者に依頼して、圧センサ付きピンセットを作製したので、今年度はこれを用いた不完全損傷モデルラットを作製する。フォースメータ(UPB-308S)が仕上がった為、より安定した脊髄損傷モデル動物の作製方法を検討し、行動観察により同程度の損傷が与えられているかを検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による緊急事態宣言にもとづき、所属機関では4月~6月まで自宅勤務が要請されたため、実験が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)脊髄損傷モデル動物の作製 昨年度に引続き、不完全脊髄損傷モデルラットを、圧センサ付きピンセットを用いて作製する。フォースメータ(UPB-308S)が仕上がった為、より安定した脊髄損傷モデル動物の作製方法を検討する。また、その結果を学会にて報告する。
2)リハビリテーション環境の準備および、実施。 細胞治療と併せて実施する予定であるリハビリテーション方法の検討をするため、従来の強制的歩行と、動物の運動を促進する様々な機器を置いた環境で過ごさせる方法の準備を行い、各条件下においた脊髄損傷モデル動物の行動をBasso-Beattie-Bresnahan(BBB)スコアという指標を用いて測定する。また、高齢者の脊髄損傷患者に多い合併症には、呼吸器感染症や尿路感染症がある為、いずれの条件においても、床ずれの予防、尿の管理を含めた全体のケアを行い、ケアをしていなかったデータと比較する。1)と2)の結果を踏まえて、次年度は、細胞治療とより良いリハビリテーションを組み合わせて、その効果を検証する。
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Causes of Carryover |
実験動物の維持費等で、次年度すぐに経費が必要になる可能性があった為。次年度に同じ理由で使用する。
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