2019 Fiscal Year Research-status Report
認知課題でなぜ二重課題干渉が抑制できるのか ~背外側前頭前野の脳活動に着目して~
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19K19839
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Research Institution | Tsukuba International University |
Principal Investigator |
木村 剛英 つくば国際大学, 医療保健学部, 助教 (60636520)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二重課題 / 認知課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは認知課題や運動課題を二つ同時に行うと、それぞれの課題を単独で行った場合よりも一方もしくは両方の成績が低下してしまう。この現象は二重課題干渉と呼ばれており、高齢者の転倒や交通事故との関連性が指摘されている。 我々は、認知課題を反復するとその後の二重課題干渉が抑制される現象を発見した。そこで、本研究の目的は、認知課題の反復によって生じる脳活動の変化量と、認知課題を行ったのちに生じる二重課題干渉の抑制量との関係を明らかにすることである。本研究の成果をあしがかりとして、認知課題の効果的な実施方法など、認知課題を反復する方法の臨床活用に向けた具体的な研究への発展が期待される。 当該年度の前半では、近赤外線分光法装置 (NIRS) を用いて、認知課題を実施している最中の脳活動を測定するシステムを構築した。また、二重課題の成績を測定するための環境設定、および解析プログラムの作成を行った。当該年度の後半より予備実験、本実験を行いデータを収集した。なお、2020年3月の段階で本実験も終了している。 一連の研究の結果、認知課題により誘起される脳活動のうち、背外側前頭前野の活動の亢進量と二重課題の成績の向上量に相関関係を認めることができた。この成果をもとに現在、論文の執筆中である。また、今後は、どのような認知課題でも本研究と同じ相関関係を認めるのか、といった、研究成果の臨床応用に向けた実践的な研究を展開していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに実験は終了しており、現在は論文の執筆まで到達できている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度で用いた認知課題以外の認知課題でも、同様の相関関係が確認できるのか検証する必要がある。また、認知課題の実施後、どの程度の時間間隔をあけると認知課題による二重課題干渉の抑制効果が消失してしまうのか、といった認知課題の臨床活用に向けた研究を今後は展開していく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度において、研究開始当初の予算では光イメージング脳機能測定装置の購入と研究の遂行 (謝金等の支払い) が困難となった。このため、次年度の予算を前倒しして、若干多めに追加申請させて頂いた経緯がある。今後は論文の執筆に必要な統計ソフトウェア等の購入を検討している。
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