2022 Fiscal Year Research-status Report
地域高齢者における作業ストーリーメイキングを活用したアプローチモデルの開発
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19K19862
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高島 理沙 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (70779503)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 予防的作業療法 / 地域 / 高齢者 / ストーリーテリング / ストーリーメイキング / ランダム化比較試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
作業ストーリーテリング/メイキングは,クライエントの物語を引き出し,人生の再構築を支援するためのアプローチである.研究者らは,地域在住高齢者の認知症予防を志向した介入として,このアプローチを応用した“カラー・ナラティブ”プログラムを開発した.このプログラムは,介入中に行う作業を参加者自らが計画・実行するよう支援する特徴をもつ.本年度は,従来型介護予防プログラムと比較し,“カラー・ナラティブ”が,地域在住高齢者の認知機能や生活機能,Well-beingに及ぼす効果を検証することを目的に,ランダム化比較試験を実施した. 北海道A市の5つの高齢者サロンが協力した.各群のプログラムは次の通りであった.介入群(カラー・ナラティブ):1)色カードを用いた集団での作業ストーリーテリングを通し,個人の価値ある日々の作業を目標に設定(約90分).2)各自が日々の中で価値のある作業を実行(約3か月).3)集団でふり返り(約90分).対照群(従来型介護予防プログラム):健康講話とゲームを集団で実施(約90分×2回).介入前(T1),介入直後(T2),介入の約6カ月後 (T3)の3時点で,基本属性,認知機能,生活機能,Well-beingのデータを収集した. 最終的に46名(介入群23名,対照群23名,平均76.6 ± 6.2歳)が介入とT1~T3の3時点の評価を完了した.結果,カラー・ナラティブは従来型プログラムと比較し,地域在住高齢者の人生の目的の感覚を有意に高め,認知機能の低下を予防したことが示された.特に,介入6か月後(T3)において,介入群は対照群よりも良好な認知機能を保ち,より強い人生の目的の感覚を抱いていた.人生の目的評価点が高い人は,認知症発症リスクが低くより良好な認知機能を示すことが先行研究で明らかにされている.人生の目的の感覚の強さが,介入群の認知機能の低下を予防した可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19のために,ランダム化比較試験の開始が延期され,半年ほど後ろ倒しになった.しかし,介入開始後は順調に進行し,介入6か月後のフォローアップ評価までを完了することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
学会や学術誌での成果発表を行う.加えて,地域住民の集まりや介護予防に携わる関連機関の集会/会議等に参加し,研究成果を還元することを予定している.
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Causes of Carryover |
ランダム化比較試験の開始が半年ほど後ろ倒しになった.そのため,次年度に学会や学術誌での成果発表を行う予定である.学会の参加費や,英文学術誌での成果発表のための英文校正費,投稿費に使用するためである.
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