2019 Fiscal Year Research-status Report
幼少時の豊かな生育環境の提供が自閉症モデルマウスの行動・脳機能改善に及ぼす影響
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19K19863
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小枝 周平 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (00455734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉症 / 疾患モデル / 脳機能 / 行動実験 / 母子分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症児のリハビリテーション現場では、他者との関わりや遊具を用いた感覚・運動遊びを提供する。これらは脳の発達に良い影響を与えるといわれているが、その影響は十分に解明されていない。本研究ではリハビリテーションで実施されているような豊かな生育環境の提供が自閉症モデルマウスの行動や脳機能に与える影響を調査することにより、自閉症児に対する療育のエビデンス向上につなげることを目的に実験を行った。 この目的の達成に向け、本年度は、自閉症モデルマウスの作成およびどのようなリハビリテーション介入が有効であるかのプレテストを行った。 自閉症モデルマウスの作成は、妊娠母マウス(妊娠後12.5日)へ抗てんかん薬であるバルプロ酸ナトリウム(VPA)を頸部皮下投与することにより作成した。安定して病態が生じないことや仔マウスの身体的成長への影響も懸念されたため、生後4日と14日の仔マウスにVPAを頸部皮下投与する方法も追加検討した。自閉症様行動は、妊娠母マウスから生まれた仔マウスに最も出やすいこと、生後にVPAを投与した場合は比較的動きの多い多動様の行動が多いことを行動実験により確認した。 リハビリテーション介入についてはモデルマウスの作成が予定より遅れたために開始が遅くなった。また、当初はトレッドミルによる運動を視野に入れ検討を進めていたが、運動様式が回転ケージを用いた自発運動と異なるため単純な比較が困難であった。そこで、強制回転かごを購入し、運動様式を揃えた検討を行っており、運動量の検討をしている。また、今後は単独飼育と複数飼育といった社会的な作用を介入として利用し、自閉症モデルマウスの行動に効果が現れるかについて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた疾患モデルの作成、リハビリテーション介入が実施できており進捗状況に特に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、バルプロ酸ナトリウム(VPA)投与による自閉症モデル動物の安定的な作成および脳機能解析の手法を獲得することを目標とする。 リハビリテーション介入については、プレ実験をすすめ、効果的なものを中心に実験に導入していく。現在のところ、運動実施後のマウスの行動が良好になる可能性が高いことから、運動の種類を変えて検討を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
モデルマウスの作成による出生数の予測が困難であり、動物数の極端な増加を抑えた購入を行っていたため、動物購入費および飼育費分の残額が生じた。次年度は動物の購入、飼育、試薬の購入など消耗品の購入も多く見込まれるため、それに充てていく予定である。
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Research Products
(5 results)