2020 Fiscal Year Research-status Report
幼少時の豊かな生育環境の提供が自閉症モデルマウスの行動・脳機能改善に及ぼす影響
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19K19863
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小枝 周平 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (00455734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉症 / 疾患モデル / 機能 / 行動実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症のリハビリテーション現場では、他者との関わりを促したり、遊具を用いた感覚運動遊びを提供することが多いが、その影響は十分に解明されていない。本研究ではリハビリテーションで実施されているような豊かな生育環境の提供が自閉症モデルマウスの行動や機能に与える影響を調査することにより、自閉症に対する療育のエビデンス向上につなげることを目的に実験を行った。 本年度は、昨年度作成に成功した胎生期にバルプロ酸ナトリウム(VPA)を投与した自閉症モデルマウスを用いてリハビリテーション介入が有効であるかの確認を行った。介入内容は強制回転かごを使用した強制運動を選択し、運動負荷量は、速度5m/min、時間1hour/dayとし、頻度7day/week、期間2weeksに設定した。生まれた雄マウスを使用して、バルプロ酸を投与した群(VPA群)とコントロール群(CTL群)に分類し、それぞれに介入群、非介入群を設定して強制運動の治療効果検証を行った。 実験の結果、強制運動の実施による治療効果はなく、むしろ介入群は不安の増加を示していたほか、ストレスマーカーであるコルチコステロン濃度の上昇が認められた。これにより、強制運動によるストレスが治療効果の減少や不安の発生に関与したと考えられた。 運動は自閉症モデルマウスの行動改善につながるとされているが、強制的な運動はストレスを誘発し、行動改善を妨げることが明らかになったため、今後は自発運動を中心としたストレスのない運動量向上が行動の改善に有効であるかを探る必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたリハビリテーション介入が実施でき、その効果についての検証ができており、進捗状況は特に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、バルプロ酸ナトリウム(VPA)投与による自閉症モデル動物の安定的な作成および 機能解析の手法を獲得、実施することを目標とする。 また、次年度は、環境エンリッチメントの治療効果について着目し、ストレスの少ないと考えられる遊具の設置による自発運動量向上の効果について検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定した学会等がCOVID-19により中止となり、旅費の支出が減額した。その分物品購入に充てて研究遂行に必要な分を支出をしたが残額が生じた。
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[Journal Article] Atypical sensory processing profiles and their associations with motor problems in preschoolers with developmental coordination disorder2020
Author(s)
Misaki Mikami, Tomoya Hirota, Michio Takahashi, Masaki Adachi, Manabu Saito, Shuhei Koeda, Kazutaka Yoshida, Yui Sakamoto, Sumi Kato, Kazuhiko Nakamura, Junko Yamada
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Journal Title
Child Psychiatry & Human Development
Volume: 52(2)
Pages: 311-320
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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