2021 Fiscal Year Annual Research Report
幼少時の豊かな生育環境の提供が自閉症モデルマウスの行動・脳機能改善に及ぼす影響
Project/Area Number |
19K19863
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小枝 周平 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (00455734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉症 / 疾患モデル / 脳機能 / 母子分離 / 行動実験 / 環境エンリッチメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、これまでに作成した自閉症モデルマウスを利用して、その治療的介入として、環境エンリッチメント下での飼育を実施し、その効果を主として行動実験およびストレスホルモンの面から検証した。 自閉症モデルマウスは、これまでの実験と同様に、バルプロ酸ナトリウムを妊娠12.5日目の母マウスに投与(600mg/kg)することにより作成した。介入方法は、これまでの実験から、強制的な運動の実施は、不安行動の惹起や社会性改善の効果を認めないことが明らかになったため、自発的な運動を誘発でき、かつ実際の自閉症児のリハビリテーション治療に近い環境である環境エンリッチメントを治療法として選択することとした。行動実験では、社会性の指標としてThree chamber test、活動量の指標としてOpen field test、不安度の指標としてElevated Plus Maze Test、空間作業記憶の指標としてEight arm radial maze Testを行った。ストレスホルモンに関してはコルチコステロンの血中濃度をELIZA法にて測定した。 実験の結果、自閉症モデルマウスに対して、環境エンリッチメント下での飼育を実施すると、社会性の改善や不安行動の減少の効果が認められた。また、ストレスホルモン値は、環境エンリッチメントで過ごした群が運動を多く行っていたのにも関わらず、通常飼育のものと差がなく、ストレスを与えることなく過ごせたことが確認された。環境エンリッチメントによるこれらの変化は、自発的な運動の促進や不快な刺激からの逃避がこれらの良い影響を引き起こしたと考えられ、このような環境下で過ごすことは自閉症の行動の改善に有効に作用することが示唆された。
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Research Products
(3 results)